理想の女(ひと)
製作年:2004年
製作国:イギリス/スペイン/イタリア/アメリカ/ルクセンブルグ
監 督:マイク・バーカー
ニューヨーク社交界の華である若いメグとロバートのウィンダミア夫妻は南イタリアの避暑地アマルフィへバカンスに訪れた。ある時、妻の誕生日プレゼントに悩むロバートは魅惑的なアメリカ人女性アーリンと出会う。彼女の助言で金の扇を購入し、これをきっかけに2人は親密になっていくのだが…。
上記の粗筋を読めば、典型的な不倫ドラマを想像させるが、実際は全く違うテイストの物語だ。ここで思い出すのは同じオスカー・ワイルド原作の映画「理想の結婚」(1999)である。幸せな夫妻がある女性の出現で、二人の間に秘密が生じ関係を悪化させていく。浮気と思わせておいて実は・・・、と思わせるドラマを用意しているところが非常に似ている。どこか清々しい気分で終わっていくところもそっくりだ。
映画の原題である“グッド・ウーマン=善良な女性”とは何か。メグ(スカーレット・ヨハンソン)とアーリン夫人(ヘレン・ハント)の二人の対照的な女性を通して観客に問い掛けてくる。そんな簡単に善良な女と性悪な女は分けられるものではない。彼女たちが交錯する時、善悪の境目が曖昧になっていく。メグは落ちていこうとするし、アーリン夫人はそれを守ろうとする。その葛藤に惹き付けられ、金の扇が効果的に使われていることに感心する。
豊富な恋愛遍歴を重ねてきたアーリン夫人役のヘレン・ハントに賛否両論あるようだが、私は支持したい。実年齢以上に老けて見せていると思う。その老いを滲ませていることで、彼女の変節が理解され、後半のドラマに説得力を加えていると思う。
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