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2006/04/04

ふたりの5つの分かれ路

製作年:2004年
製作国:フランス 
監 督:フランソワ・オゾン

淡々と事務的に離婚の手続きを終えたマリオンとジルはホテルへと向かい、何年かぶりに互いの素肌に触れたのだった。しかし、ふたりの間にはもう元には戻れない隔たりがあった。結論は変わらないと悟り、マリオンは部屋を後にする。そして時間は遡り、ふたりの思い出の時がひとつ一つ甦っていくのだが…。

ラスト・シーンが哀しい。別れから出会いへ時間軸を逆にした構成は、このためにあるのではないかと感じさせる。海の中、朝日に向かって泳いでいく二人。普通であれば、希望あふれる一場面になるのであるが、これが二人の恋の始まりでもあるし、別離の始まりでもある。そう思うと哀切感で一杯になる。

同じようなシーンがもう一つある。結婚式のパーティーで踊る二人であるが、賑やかなバンド演奏から一転。哀しみに満ちた音楽に切り替わっていくのだ。二人の幸福感がピークに達した。だが、そこから後は下降線をたどっていくことになるのだ。皮肉な視線を感じる。

二人が別れていく決定的な原因を描いたエピソードはない。それが本作品のポイントだ。浮気も出産に立ち会わなかったことも、別れの原因の一つであるだろうが、どうもそれだけではないようだ。そのことで劇的な展開はなくなったが、エピソードの合間のドラマを観客に想像させ、味わい深い映画に仕上がっている。

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コメント

時間を遡って語られる手法をシンプルにやってのけているところと、どちらに偏るわけでもなく、かつオゾンらしく描かれかた男女の心理描写が調度よかったです。別れの決定的な原因が描かれていない点はたしかにポイントですね。

投稿: さとうさん | 2006/04/05 01:07

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