やさしくキスをして
製作年:2004年
製作国:イギリス/ベルギー/ドイツ/イタリア/スペイン
監 督:ケン・ローチ
生活環境の決定的な違い。その溝を巧く説明できず、カシム(アッタ・ヤクブ)はロシーン(エヴァ・バーシッスル)に「白人には理解できない」と断言してしまう場面が続く。二人が結婚を前提に巧く生活するためには、どちらかがそれまでの文化や宗教を捨てて、相手側のそれに合わせなければならないのだ。しかし、そのことは自分のアイデンティティを失うことでもある。カシムが優柔不断のように見えるが、その葛藤は至極当然である。
この映画のポイントは、妹タハラの存在であろう。伝統社会にいることを良しとする姉。留まりたいが居心地が悪いとも感じる兄。そんな兄弟と対比させ、全ての文化を融合し新たな道を模索する妹の存在が鮮やかに写る。冒頭のスピーチが印象深い。
ラスト・シーンも秀逸。今は良くても、将来二人の生活が幸福であるのか、その不安感は決して消えることはない。確かに困難な道になるだろう。辛い出来事もたくさん起ると思う。だが、何より大切なのは一緒にいたいと思う気持ち。それを強く感じさせる幕切れであった。
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