ヴェニスの商人
製作年:2004年
製作国:アメリカ/イタリア/ルクセンブルグ/イギリス
監 督:マイケル・ラドフォード
16世紀のヴェニス。ゲットーに隔離されたユダヤ人たちは金貸し業を営み、キリスト教徒から蔑まれて暮らしていた。ある時、貿易商のアントーニオは、親友のバッサーニオが美しい女相続人ポーシャと結婚するのに必要な資金を借りるため保証人を買って出る。バッサーニオはユダヤ人のシャイロックと話をまとめるが…。
シャイロック(アル・パチーノ)は、復讐心が大勢を占め、慈悲の心をなくしてしまった。そして、引き返せる境界線を踏み越えてしまう。復讐の刃は相手だけでなく自分をも貫く。
無論、シャイロックにも同情する。日頃、ユダヤ人ということで差別を受け、金貸し業を営むことからつばを吐きかけられる屈辱を味わい、最愛の娘ジェシカ(ズレイカ・ロビンソン)はキリスト教徒と駆け落ちしてしまう。その際、娘はお金と共にトルコ石の指輪を持ち出してしまう。湯水のようにお金を浪費し、指輪は一匹の猿と交換してしまったと聞かされ、怒りが頂点に達するシャイロック。同じユダヤ人である最愛の娘から自分の生き方を否定されてしまったのだ。
だが、この風説は誤りであった。ラスト・シーンで娘の指にその指輪が映される。シャイロックは間違った情報に踊らされてしまったのだ。憎しみの炎が燃え盛ったとき、情報の正確性を確認する術はない。ここが真の悲劇の始まりであった。
何故、アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)はバッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)のために借金を背負うのか。ただの友情というだけは無かったはずだ。そこには同性愛的関係があったと思わせる。そのことが、二人に隠微な雰囲気を漂わせる。
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