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2006/02/08

ダーク・ウォーター

製作年:2004年
製作国:アメリカ
監 督:ウォルター・サレス

離婚調停中のダリアは5歳の娘セシリアの親権を得るため家賃の高いマンハッタンを離れニューヨークのルーズベルト島へとやって来た。薄暗く不気味な雰囲気の漂うアパートだったが、近くにいい学校もあってここに越してくる。こうして、母娘ふたりの新生活が始まったのだが…。

幼少のダリアが雨の中、母が迎えに来てくれるのを待っている。それをファースト・シーンにもってきたところが絶妙に巧いと思う。彼女のトラウマの説明であるし、ナターシャの思いとも重なっている。ダリアがナターシャに選ばれた理由はここにあると思う。

水自体は清く聖なるイメージがあるものだが、どこかで流れがせき止められたりすると、どんどん汚濁してしまって禍々しさが強まってしまう。ナターシャの恨みが汚水となって強烈に表現されている。

オリジナル版の「仄暗い水の底から」(2001)を既見しているのでドラマ展開を知っている。そのため、細部がじっくりと見られ、ウォルター・サレス監督の演出力の高さに瞠目することになる。アパートの寂しげな風景が何度も挿入されているが、ある施設がさりげなく映されている。そのさりげないところが実に巧妙だ。娘の髪を三つ編みにする場面の反復も効果的であった。

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コメント

TBありがとうございました!
確かに、細かい描写の積み重ねは効果的で上手でしたね。もっと本質的な部分で、私は引っかかってしまったのですが……長くなりそうなので、詳しくは二つ目のTBをご参照ください(笑)。

投稿: 映画三昧 | 2006/02/10 03:57

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