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2006/02/20

ベルリン、僕らの革命

製作年:2004年
製作国:ドイツ/オーストリア 
監 督:ハンス・ワインガルトナー

ドイツ、ベルリン。ユールは借金をかかえアパートの家賃が払えなくなり、恋人ピーターの部屋に転がり込む。彼はピーターの15年来の親友ヤンと暮らしていた。ユールは最初ヤンを気味悪がるが、ピーターの旅行中、引き払うアパートの片付けをヤンに手伝ってもらってから親しくなっていくのだが…。

2005年11月にフランスで若者たちによって起こされた大暴動。その根底に流れるものは、本作品と綿密に繋がっていると思う。若者の反体制思想は、どこで爆発するか分からないものだ。現代の日本ではどうなのか。こういう暴動という形では発露しないかもしれないが、様々なストレスが溜まっているのは間違いない筈だ。理想の世界を築くことは容易でないが、現在の社会を否定するのは容易い。

金持ちは金持ちであるがゆえにますます金持ちになっていく。本作品ではその仕組みの一端が窺えた。交通事故が起きる。富める被害者はその対応を弁護士に任せしっかりと補償を勝ち取る。一方、貧しい加害者は保険にも加入しておらず、事故の賠償金を支払うために家賃も払えなくなってしまう。単純計算で5年間分の賃金に相当するその金額も、金持ちにとってはわずかなものでしかない。それでも、被害者は払い続けなければならないし、金持ちはそんな事情すら知らないでいるのだ。

本作品のポイントは、誘拐された金持ちが昔は反体制闘士であったということである。彼がなぜ反体制思想をなくしていったのか。それが興味深い。彼らの監禁生活は、誘拐される、誘拐したとの関係を曖昧にしていき、一つの共感を抱くまでに至る。若者たちは自分の未来の姿を感じ取るし、金持ちは過去の自分を垣間見るのだ。だが、その共感は特殊な状況が招いた一時のことであった。苦さとかすかな希望を感じさせるラスト・シーン。

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コメント

>共感は特殊な状況が招いた一時のことであった

単純なラストにしていないところが、本作のすばらしさですね。
ドイツ版では、その後編もあるようで、共感した状況が持続するそうです。

投稿: マダムクニコ | 2006/02/21 05:35

TBありがとうございました!

後編があるんですか?

それって、続編?

見てみたいですね。

投稿: 映画三昧 | 2006/02/22 05:39

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