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2006/02/23

ライフ・イズ・ミラクル

製作年:2004年
製作国:セルビア=モンテネグロ/フランス
監 督:エミール・クストリッツァ
出演:スラヴコ・スティマチ ナターシャ・ソラック
   ヴク・コスティッチ ヴェスナ・トリヴァリッチ

1992年ボスニア。セルビア人のルカは鉄道技師。息子ミロシュは突然軍に招集され、妻は別の男と駆け落ちしてしまい、一人ぼっちになる。やがて内戦が勃発、ミロシュが捕虜になったとの報せが届く。ムスリム人のサバーハが村人に捕まり、ミロシュとの交換要員としてルカが身柄を預かることになるが…

何にも知らされないで、いきなりこの映像を見せられても、クストリッツァ監督の作品であるとわかるであろう。喧騒的なジプシー・ブラス。生き生きとした動物たちの姿。ハイテンションな登場人物たち。いかにもいかにもというクストリッツァ監督の特徴に溢れている。ハチャメチャで即興的な作りのように見えるが、感情表現など緻密で繊細に描かれている。

ルカとサバーハが結ばれるまで、ルカは自分の気持ちを把握できず、突然に怒り出すところが印象深い。彼女に惹かれていく感情と、捕虜である彼女と結ばれてはいけないという理性が拮抗し、彼の中でバランスが取れなくなる。そして、些細なことが契機となってストレスを怒りに変換させて発散させている。

最初の頃に病院で二人がストレッチャーに乗って廊下を暴走するシーンも巧い。二人が運命のカップルであることを予感させるし、後半でベッドに乗って空を飛ぶ空想シーンの予兆となるものだ。

ロバも絶妙に使われている。いつの間にかルカと行動を共にして、彼にいくところに姿をあらわしている。仕事を放棄する。失恋して涙を流す。線路に立ちふさがる。まるで、ルカの人生を予言しているようだ。そして、あのラスト・シーン。このロバはルカの守護神なのであろうか。

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» 『ライフ・イズ・ミラクル』 [ラムの大通り]
-----この監督、エミール・クストリッツァって 確か今年のカンヌ映画祭コンペティション部門の審査委員長だよね。 「うん。カンヌは毎年、審査員の好みに大きく左右されるから、 今年のパルムドールはアート系というか、 非ハリウッド的映画で決まりでは…と言われているんだ」 -----と言うことは、この『ライフ・イズ・ミラクル』も 一筋縄ではいかない作品ってことだね。 「世界広しと言えども、 クストリッツァ... [続きを読む]

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