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2006/01/04

ビヨンド the シー 夢見るように歌えば

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:ケヴィン・スペイシー

ブロンクスの貧しい家庭に生まれて、心臓病で15歳までの命と診断された少年ボビー。義兄チャーリーからピアノをプレゼントされ、むかし歌手だった母ポリーから音楽の喜びを教えてもらう。病気を克服し青年となったボビーは本格的にプロの道を目指す。苦労の末にトップスターの仲間入りを果たすのだが…。

「五線譜のラブレター」といい「Ray/レイ」といい、20世紀のアメリカで大活躍した音楽家の伝記映画が2004年に続いて製作されているのは、興味深い符合だ。本作品もそうであるが、ただ音楽家の生涯を劇的に描いているのではなく、セクシャリティーや幼児期のトラウマなど人間心理を奥深く追及しており見応えのある映画になっている。

本作品のテーマはアイデンティティーの追求である。それが様々な趣向を凝らしてダイナミックに描かれている。子供時代の自分の幻との会話。青年期まで父性を求めている事。音楽家としての成功は母の夢の実現が根底にあること。どんなに成功を収めても真の達成感を得ることはない。その象徴的なエピソードが、アカデミー賞にノミネートされただけでも大変な名誉であるのに落選すると尋常ではない怒り方をする場面。すべて、自分とは何か、一体何をしたいのは、分からないまま過ごしてきたことを表している。

後半になると自己発見への展開となっていくが、そのエピソードの配列も秀逸。クライマックスのステージで心が大いに揺さぶられる。腕時計の使い方も巧い。その時計がボビー・ダーリンの命の象徴になっている。

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コメント

 あけましておめでとうございます。
 TBありがとうございました。ラストで歌う"Simple Song of Freedom"が心にしみますね。僕としてはスタンダード曲よりもこのフォーク調の曲の方が好きです。
 昨年は「五線譜のレブレター」や「RAY/レイ」も公開されたのでちょっと割を食った感じがします。それにしても全部自分で歌ったケヴィン・スペイシーは確かにうまい。自分のブログでドラマの作りにいろいろ注文をつけてしまいましたが、映画として十分楽しめました。

投稿: ゴブリン | 2006/01/04 21:08

はじめまして、TBありがとうございました。
ミュージカル映画が好きなので、唐突な(笑)ダンスシーンも楽しめました。
ケヴィン・スペイシーのワンマンショーのように言われているけど、10年も時間をかけたんだから、
その思い入れの強さも仕方ないかな・・・なんて思います。

投稿: KUNSAN | 2006/01/08 00:16

お久しぶりです、今年も宜しくお願います!この映画、とても楽しく見る事が出来たのですが、よく考えるとケビン・スペイシーが一番楽しんでますよね。気持ちよかったろーな歌えて。って感じです。

投稿: exp#21 | 2006/03/01 15:21

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