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2006/01/26

TAKESHIS'

製作年:2005年
製作国:日本
監 督:北野武

ある時、芸能界で成功を収めたタレント“ビートたけし”は、売れない役者の中年男“北野”と出会う。北野はオーディションに落ちてばかりで、コンビニの店員をしながらなんとか生計を立てている。北野はビートたけしからサインをもらうが、これをきっかけに夢とも現実とも分からない不思議な世界が広がっていくが…。

かなり難解な映画であるという前評判を聞いていたが、そのつもりで観ればそんなに頭を悩ませる話ではなかった。どう解釈しようと正解であり、正しい答えなどないのであろう。私の解釈は冒頭の日本兵が今際に観た一瞬の幻想というもの。第二次世界大戦の最中と思われるので、彼の生まれ変わりがビートたけしになっており、後生の姿を予知したものではないだろうか。オーディションを繰り返す金髪の北野はビートたけしの幻想で、二重の入れ子状態になっている。北野はビートたけしの世界へと入り込んでいくという解説もあるが、私は逆だと思う。

その幻想を抱く契機となったのはピエロであるところが興味深い。スター俳優になっても落ち着くことができない心情と負い目。ピエロが変身願望の象徴なのかもしれない。叱責を続ける岸本加世子。あざけり続ける寺島進。怒声を浴び続けるラーメン屋の店主。ビートたけしのストレスが様々な姿となって反復されている。

そして、たけしのパフォーマンス好きが色濃く反映されている。タップダンス。少年舞踊。美輪明宏の歌と続いていく。彼らの芸が独立したものとしても大いに楽しめる趣向である。

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コメント

こんにちは♪
見た人それぞれの解釈があって、しかもどれも正解であり正解じゃないという感じがしますよね。
監督本人も観客のそういう姿を見て楽しんでいる気がします。
やっぱり北野作品とは相性が悪いな~と思ってしまいました(笑)

投稿: ミチ | 2006/01/26 23:10

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