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2006/01/21

コースト・ガード

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:キム・ギドク

南北境界線を監視する海兵隊のカン上等兵は北朝鮮のスパイを打ち倒すことに血眼となっていた。ある夜、立ち入り禁止となっている海岸に不審な人物を見つけ即座に射殺する。だが、その男は恋人との情事を楽しんでいた地元住民だった。カン上等兵はショックを受ける。上層部は任務に忠実だったと表彰するのであるが…。

境界線にまつわる物語に魅了されるのは、そこにアイデンティティーに対する切実な問い掛けが隠されているからだろうか。生と死、男と女、国と国、正常と異常、日常と非日常。その境界線がぼやけてしまうとき、様々なドラマが生まれ、自分とは何か改めて考えさせる起点となる。そうした意味で分断国家として今なお存在している朝鮮半島は、数々の物語を生み出すことが宿命づけられているのかしれない。

本作品が興味深いのは様々な境界線が設定されていることだ。時代背景は現代に近いと推測されるが、朝鮮戦争から十数年経ち緊張が緩んでしまった北朝鮮との関係がまず一つ。立ち入り禁止となった海岸線。軍隊を統率すべき規範と上下の関係。地元住民と海兵隊。加害者と被害者。それぞれの境界線が曖昧になったとき、思いもかけない事態が次々と発生する。

さすがキム・ギドクの映画だと唸らせてくれるのは、カン上等兵(チャン・ドンゴン)が襲撃するときに、顔をぼかしていることだ。単にひとりの狂人の犯行ではない、加害者は誰にでもなりうることを表現していると解釈しました。やはりキム・ギドクの映画は見逃せないなぁと確信させる。

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