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2006/01/27

ウィスキー

製作年:2004年
製作国:ウルグアイ/アルゼンチン/ドイツ/スペイン
監 督:フアン・パブロ・レベージャ/パブロ・ストール

ウルグアイの町で、初老の男ハコボは父親から譲り受けた靴下工場を細々と経営している。そこでは控えめで忠実な中年女性マルタが働いている。ある時、1年前に亡くなった母親の墓石建立式のため、弟エルマンが訪れてくることになる。ハコボは弟が滞在する間だけ夫婦のフリをして欲しいとマルタに頼み込むのだが…。

変われない男の悲劇。マルタはこの偽装夫婦の時間の中で、胸の奥底に秘められていた感情に気付いてしまう。その感情に従って行動を起していく。だが、ハコボはその感情のざわめきに気が付かないふりをして、自分の日常を守ることを優先させる。自分を変えたくないという頑迷さは大切なものを失わせてしまう。その苦さが鑑賞後に広がる。

シャッターの鍵を開ける。電灯をつける。ラインの電源を入れる。着替える。お茶を入れる。当初、淡々とした朝の作業が繰り返し映される。ただ、工場の日常を紹介するのであれば一度でも構わない筈だ。何かあるなぁと予想していると、果たしてこの反復した描写がクライマックスで見事に活かされている。

日本で初めて一般公開されたウルグアイ映画であるが、この成熟した演出ぶりに驚嘆する。登場人物たちの台詞も少なく、設定も極力省略されている。だが、それでいて登場人物たちの振る舞いや反応で、彼らの性格や過去がそれとなく伝わってくる。こうしたところも実に巧い。

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コメント

こんにちは♪
こんなに地味でも、良い映画があるんですね。
昨日見たフィンランド映画といい、このウルグアイ映画といい、なんとも言えない味わいがあります。
>自分を変えたくないという頑迷さは大切なものを失わせてしまう
ハコボはあの後後悔するのでしょうか?
しないでしょうね、寂しさを感じたとしても・・。

投稿: ミチ | 2006/01/27 21:55

TBありがとう。
監督の年齢に似合わず、演出・構成が、実に「老獪」でしたね。

投稿: kimion20002000 | 2006/02/01 07:53

『バッド・エデュケーション』のトラバ
有難うございました。
こちらでもトラバさせてもらいます。

変われない男と、変化した女。
どちらが幸福かという答えは明確に示さずに
観る者に委ねてる点も良い。

投稿: YOSHIYU機 | 2006/02/15 22:52

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