ヒトラー 最期の12日間
製作年:2004年
製作国:ドイツ
監 督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
1942年。ユンゲは数人の候補の中からヒトラー総統の個人秘書に抜擢される。1945年4月20日。ドイツ軍はソ連軍に追い詰められていた。ヒトラーは身内や側近と共に首相官邸の地下要塞へ潜り、ユンゲもあとに続く。正常な判断力を失ったヒトラーは惨状をさらに悪化させてゆくのだが…。
いかにして敗北を認めるのか。いかにして戦争を終結させるのか。その困難さ。同じ第二次世界大戦の敗戦国である日本の状況は岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」(1967)に詳しい。現実的な状況を認識することなく精神論で対抗しようとする様は愚かしい。
ヒトラーの為政者として失格だと思うところは、市民や負傷兵を全く顧みなくなったところだ。大儀の前で市民の犠牲もやむなしと言い始めたりするのは、危険な兆候だと思う。こうした犠牲の上に築かれたものは何も意味がない筈だ。
最後の呟かれる「若さは理由にはならない。きちんと目を開いていれば分かって居た筈だ」というユンゲの言葉が重く響く。そして、あれだけ権力の中核にいて、ユダヤ人虐殺のことを知らなかったのか。そのことに改めて驚嘆する。
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» 止まれない暴走の末の狂気 「ヒトラー 最期の12日間」 [平気の平左]
評価:95点{/fuki_cool/}
ヒトラー 最期の12日間
すごい映画を観ました。
戦争映画としては、今年最高傑作だと思います。
「ヒトラー」という非常にデリケートなテーマを色々な部分に気を使いながら、決して悪役過ぎず、決して人間過ぎずに描いた作品です。
この映画の、もはや止まれない程に暴走してしまった国家の終末に伴う狂気を嫌というほど見せ付けられます。
ヒトラーの最期の12日間を描いたもの�... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 21:02
» ヒトラー最後の12日間 [It's a Wonderful Life]
とても見応えのある力作です。
でも観終わった後、あれ?これって「スターウォーズ」シリーズで言うと
「ジェダイの帰還」、つまり最後の「エピソード6」だけを
観た感じでないの?と思ってしまいました。
怪物ヒトラーがもう「終わってる」頃のラストエピソード...... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 21:10
» 『ヒトラー〜最期の12日間〜』 [ラムの大通り]
------この映画って確かアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたのでは?
「そうなんだよね。なるほどそれだけのことはある力作だった。
ランニングタイムが2時間25分もあるし、『12日間』という期間限定から
アレクサンドル・ソクローフ監督の『モレク神』のことが
チラリ頭に浮かんで、これは渋い映画かな…なんて思ってたら、
ヒトラーの最期の日々を側近たちとの関係を描きつつ、
さらにベルリンが陥落していく課程をも克明に追うという、
スペクタ... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 21:13
» ヒトラー 最期の12日間 [travelyuu とらべるゆう MOVIE]
ヒトラーの最期を描く史実に基ずく映画
1942年にヒトラーはミュンヘン生トラウドゥル・ユンゲを秘書として雇う
このトラウドゥル・ユンゲの目から ヒトラー最後の12日間が語られる
1945年ドイツ劣勢のベルリン その地下壕にヒトラーは住まう
そして多くの側近らと共にナチスドイツの最後が訪れて行きます
史実として淡々と映画は進み戦争における人の狂気、悲惨さ、無意味さを
静かに冷静な脚色で進めていく映画です
あえてコメントをする必要は無いと思います
ドキュメンタリーのように俳優たちがその状況を... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 21:14
» 「ヒトラー~最期の12日間~」 [the borderland]
日曜に行ったのが間違いだったか、初回から最後までずっと満席でしたね。ついでに隣の「皇帝ペンギン」も。本当は2作とも見たかったんだけど、3時間待って、こちらだけ鑑賞してきました。
ヒトラーの女性秘書ユンゲの視線で、たんたんと客観的に描いている。それがなお一層、ヒトラーの2面性を映し出し、背筋が冷たくなるような怖さを感じた。自殺する間際の話だから、ドイツ国民を熱狂させた演説シーンやナチスの拡大といったことは描かれてないのだけど、彼の狂気を垣間見せるシーンが多々あり、振り回される周りの人たちの反応も... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 22:29
» ヒトラー 〜最期の12日間〜 [ネタバレ映画館]
アドルフ・ヒトラーはユダヤ人だった!という仮説は大好きなのですが、それを想像させるシーンもあった・・・
それはエヴァとの質素な結婚式。「汝はアーリア人か?」と訊かれた瞬間のやりとりで、絶妙の間にゾクゾクしてしまった。実際にはその点を突くようなストーリーではありません。今まで観てきた映画、書籍、漫画の知識を総動員して注視したため、ヒトラーの断末魔に似た狂気と、壮絶な自決、そしてユダヤ人説を思い�... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 22:29
» ヒトラー~最期の12日間 [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
ヒトラーの最期とその後について描かれた作品です。
ヒトラーが次第に、周囲への猜疑心の固まりとなり、妄想にとりつかれたような状態になったり、その言動が支離滅裂になっていったり...破滅へ向かって突き進んでいく様子を追っています。その一方で、プライベートでは、優... [続きを読む]
受信: 2006/01/12 23:29
» 『ヒトラー 〜最期の12日間』 [flicks review blog II]
ヒトラーに3年仕えた女性秘書T・ユンゲの著書を元にベルリン市街戦突入からドイツ降伏までナチス崩壊の断末魔の様子を伝えた作品。
これまで触れること自体がタブー視されて [続きを読む]
受信: 2006/01/13 10:01
» ヒトラー〜最期の12日間〜 [美化してないよ、未来を良くしたいんだよ] [自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ]
**********ストーリー************
ベルリンで天使業を営んでいたブルーノ・ガンツさんは、ある時、人間の女性に恋をしてしまいました。刑事コロンボの励ましなどもあって、天使をやめて人間になることを彼は決意したのです。
そして・・・目覚めると、そこは鍵十字がいっぱい飾ってある部屋でした。何故か鼻の下にチョビ髭がついています。軍人ぽい格好をした部下らしき人に喚ばれて隣の部屋に行くと、数人の若い女性たちが、憧... [続きを読む]
受信: 2006/01/14 14:29
» ヒトラー 〜最後の12日間〜 [プチおたく日記 vol.2]
公開中に見れなかった作品です。
凄く見たかった!
こんなに期待すると普通裏切られるのですが
これは違いました・・・
私の中のベスト10にカウントされる作品ですね〜
個人秘 [続きを読む]
受信: 2006/01/14 22:05
» ヒトラー ~最後の12日間~ [映画にKISS☆ (おはなとぱーこ)]
製作/2004年 ドイツ
監督/オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演/ブルーノ・ガンツ アレクサンドラ・マリア・ララ コリンナ・ハルフォーフ
77点
史上最も有名な独裁者アドルフ・ヒトラー。 彼の人間性を描くことはタブーなのだろうか、と ずっと思っていた。 チャップリンの独裁者やパロディじゃなく、真正面から彼の人間性を描くことは出来ないのだと思っていた。 多くの戦争の映画がある中であれほどの残虐な悪行を重ねた彼の裏側を描こうとしないのは、きっと彼が人の心の中の許容の範囲を遥かに超... [続きを読む]
受信: 2006/01/15 22:45
» ヒトラー ~最期の12日間~ [レンタルだけど映画好き ]
ドラマ/戦争
2004年 ドイツ/イタリア
監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演 ブルーノ・ガンツ/アレクサンドラ・マリア・ラーラ/ユリアーネ・ケーラー/トーマス・クレッチマン/コリンナ・ハルフォーフ/ウルリッヒ・マテス/ハイノ・フェルヒ/ウルリッヒ・ノエテン/クリスチャン・ベルケル/ミハエル・メンドル/マティアス・ハービッヒ/ゲッツ・オットー
原作 ヨアヒム・フェスト 『ヒトラー 最期の12日間』
トラウドゥル・ユンゲ 『私はヒトラーの秘書だった』
彼の敵は世界 ... [続きを読む]
受信: 2006/01/18 18:03
» ヒトラー 〜最後の12日間〜 [映画と本と音楽にあふれた英語塾]
ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション
ゴウ先生ランキング: A-
早稲田松竹
2006年1月25日(水)9:30からの回
公式サイト: http://www.hitler-movie.jp/index2.html [続きを読む]
受信: 2006/01/26 20:17
» ヒトラー 〜最期の12日間〜 [しーの映画たわごと]
ヒトラー 〜最期の12日間〜2004年 ドイツ監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル出演:ブルーノ・ガンツ,アレクサンドラ・マリア・ラーラ,ユリアーネ・ケーラー,トーマス・クレッチマンStoryアドルフ・ヒトラーが地下で過ごした最期の12日...... [続きを読む]
受信: 2006/03/01 20:36
» 「ヒトラー 〜最期の12日間〜」 [ひらりん的映画ブログ]
05年公開作で見逃しちゃってた作品。
なかなか評価が高いみたい・・・でも、
ひらりん、戦争モノにがてなんだよなーーーー・・・
といいつつ、最近結構戦争がらみの映画見ちゃってるけど・・・。 [続きを読む]
受信: 2006/03/08 01:01
» ヒトラー〜最期の12日間〜 [琴線〜心のメロディ]
【2005年7月9日劇場公開】
【ジャンル:ドラマ】※ノン・フィクション
【観た場所:レンタル・DVD】
面白かった度:{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}
オススメ度:{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}
もう一度観たい度:{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}
ヒトラーについての予備知識はほとんどなく、学校教育で習った程度�... [続きを読む]
受信: 2006/03/18 15:02
» ヒトラー~最期の12日間~(04・独) [no movie no life]
とうとう山形で今週から「白バラの祈り」の上映が!待ってました。それで、予習もかねて本作品をDVD鑑賞。これもホントは劇場で見たかったんだけど・・・。
内容はタイトルの通り。アドルフ・ヒトラーの最期の12日間を、秘書の女性ユンゲの目を通して、彼とその周囲の人間... [続きを読む]
受信: 2006/03/21 01:31
» ヒトラー 最期の12日間 [ファッション&エンタメ情報館]
ヒトラーの秘書の目を通して語られるヒトラーの最後の12日間の物語。 昨日、WOW... [続きを読む]
受信: 2007/04/06 10:10
コメント
こんにちは。TB返していただきありがとうございました。
戦争が、いかに狂気を作り出していくか、いかに人々の目を見えなくさせているのか・・・ラストのユンゲの言葉がずっしり来ます。
戦後60年、「ヒトラー」や「白バラの祈り」のような映画を作るドイツ。かたや日本はどうなのかなあ。目は開いているのだろうか?と考えてしまいます。
投稿: カオリ | 2006/03/21 10:50