製作年:2005年
製作国:日本
監 督:本広克行
「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998)が快作であったのは、「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」という名台詞を生んだことにある。それは当時の社会を痛烈に批判するもので、観客に大いなる共感を生んだ。
そのスピンオフ作となる本作品は、地下鉄指示室という会議室に舞台を絞って展開される。情報化社会の中心のようなその指示室においても、指示を決断する根拠は勘であるという視点は興味深かった。先に挙げた現場というのは、この勘というキーワードで通じていると思う。
ここで大事なのは、その勘を信じられるかどうかである。無論、なんの根拠もない博打的な勘であっては問題外である。緻密なデータや裏打ちされた経験によって導かれる勘によって、様々な選択肢の中、自分の答えを見つけ出す。裏目にでるかもしれない、失敗するかもしれないという薄氷の思いを抱きながら決断することの勇気を称賛している。
飽きさせないで最後まで見せてくれたという点では合格かもしれないが、どこか拍子抜けと感じも歪めない。全体を通して一通りディティールを描いているのだが、観客の意外性をつく驚きに欠けていることが原因ではないか。
例えば、会議室にいる真下と対比する形で現場を担当する木島(寺島進)の存在。柄の悪さなかにも人の良さを滲ませる人物造形は秀逸なものがあるが、犯罪捜査としていまひとつ冴えを見せていない点がひとつ。
また、交渉人という特殊な仕事のディティールが、あるレベルまで描写されているものの、観客を深く感心させるレベルまでいっていない点がふたつ。
三つ目は、犯人が出す映画や小説のヒントに対して、もう一歩深い関連付けがなされていないことだ。4つのヒントの共通点ななんだという台詞があるにも関わらず、その答えがなされていない。これではミステリーとして大いに不満だ。
エンド・クレジットの記念写真の使い方が面白い。最後の最後になって、ドラマが繋がっていくセンスは鮮やかだった。
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