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2005/12/13

受取人不明

製作年:2001年
製作国:韓国 
監 督:キム・ギドク

1970年末の在韓米軍部隊が駐屯している村。米兵との混血児であるチァングクは母と村の外れにある赤いバスで暮している。小さい頃片目をけがしたウノクは、コンプレックスのためいつも前髪で顔の半分を隠していた。米軍基地前の肖像画店で働く気弱なジフムはウノクに好意を抱くが…。

紛れもないキム・ギドク監督の作品だ。あまりに痛烈で胸がかき乱される。逃れる術のない苦しみを抱き、罪を重ねてしまう人たち。「受取人不明」というタイトルが彼らと重なってくる。

アメリカの軍用機の描写が繰り返されているが、今も朝鮮戦争の影響下にあることを暗示させている。戦争で片足を負傷した父。戦死したと思われていて実は北に亡命していた父。アメリカに帰国したまま音信不通になってしまった父。主人公三人の家庭は朝鮮戦争によって傷つき、そのことが息子、娘に暗い情念を抱かせている。そうした元凶をアメリカにあるとして非難するのであれば、少女ウノクに近付くアメリカ兵ジェームズをもっと悪く描いていただろう。米軍の中で異端であり続ける彼も戦争によって傷ついているアメリカ社会の象徴である。

本作品では目に関わるエピソードが執拗に続く。幼い頃ウノクはおもちゃの拳銃で右目を負傷する。ジフムの目はウノクの部屋を覗きみる。犬商人ケヌンはチァングクに「犬に負けない目を持て」と教える。ウノグを襲った二人組に復讐するために自家製の拳銃を向けるがジフムだが暴発し右目を負傷する。ウノクの目を直すことで彼女に接近するジェームズ。見事に連鎖していくのだ。それは不条理な世界に振り回され、適えたい思いは打ち砕かれ、コントロールできない社会への苛立ちを象徴しているのではないか。

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コメント

TBありがとう。

おっしゃるとおり、「暗示」がそこかしこに、散りばめられていましたね。

ギドク監督の、苛立ち、怒り、絶望が、色濃く反映した作品だと思います。

投稿: kimion20002000 | 2005/12/17 10:32

いつもコメントTBありがとうございます。
こちらからも失礼させていただきます。
ギドクの、苛立ちや怒りが画面を通して伝わってくるような、
強い念を感じました。
目、犬、アメリカ軍を主人公3人それぞれに絡めて、
韓国の70年代から現代にまでに通ずる問題を浮き彫りにしていると思います。

投稿: 現象 | 2006/03/11 03:21

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