マグダレンの祈り
製作年:2002年
製作国:イギリス/アイルランド
監 督:ピーター・ミュラン
出演:ノーラ=ジェーン・ヌーン アンヌ=マリー・ダフ
ドロシー・ダフィ ジェラルディン・マクイーワン
1964年。アイルランド、ダブリンにあるマグダレン修道院。ここは堕落した女性を更生させる施設であった。ある時、3人の少女バーナデット、マーガレット、ローズが収容される。彼女たちは修道女たちに性悪女と決めつけられ、祈りと労働によって神に奉仕し罪を悔い改めるよう言われるのだが…。
第59回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
一つの価値観に縛られた世界は、息苦しいものだ。それがどんなに立派で高尚なものであっても、そこで暮らす者に強制するとき、どこかで恐怖政治に変わっていく。この世の中で何より大切なものは、自分で自分の価値観を決められる自由であると思う。
自分がイメージする修道院とは「サウンド・オブ・ミュージック」(1964)に出てくるようなものだが、それとはあまりかけ離れたマグダレン修道院。ここは女性刑務所の以外の何物でもない。普通の女性刑務所であれば司法制度の判断で自分の刑期がどれくらいか認識できる。しかし、この修道院にはいつまで収容されているのか、その基準がはっきりして分っていない。それどころか、一生出られない者も存在しているのだ。先に希望の見えない生活はあまりに過酷である。その重さに心が潰れるようだ。
しかも、この話は中世ではなく1960年代を舞台としており、1996年に閉鎖されるまで実際に行われていたことなのだ。その事実にも峻然となる。
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コメント
”マグダレンの祈り”、本当に考え改めさせられた作品だと思います。アイルランドで実際に起こった出来事だと知ったときは震え上がるような気持ちになりました。
多くの女性たちが権力の理不尽な施行によって苦しめられたのかと思うと、今の自分がとても幸せだと感じるとともに、また同じような過ちが繰り返されることのないよう心から祈りを捧げます。
投稿: Kira | 2005/09/25 20:30