理由(大林宣彦監督)
製作年:2004年
製作国:日本
監 督:大林宣彦
1996年6月5日。東京都荒川区。暴風雨に見舞われていた深夜未明。超高層マンション“ヴァンダール千住北ニューシティ”で一家4人が殺される事件が発生。住民台帳からこの部屋に住んでいた小糸信治一家が殺害されたと思われていたが、調べを進めるうちに4人はまったくの別人であると判明するが…。
宮部みゆきのあの傑作小説を一体どのように映画化するか。観る前から興味が尽きなかったです。大林監督の選んだ方法は原作同様にルポタージュ形式で進み、登場人物の証言によって構成されていくものでした。圧巻なのは、それに出演した107人にものぼる俳優たち。女性も男性も関係なくノーメイクで出演し、生身の人間像が描写されている。かつての大林映画に出演してきた者も多く、さながらOB会のようで感慨深かった。
最後は言葉だけでなく字幕にするまで徹底的に分りやすくテーマを訴えかける一方で、犯人の犯行動機が最後まではっきりと明らかにされていない。ここが原作と決定的に違うところだ。
本作品にはそうした相反する描写がいくつもみられる。リアルさを追求する一方で解明されない謎も残し、虚実入り混じった混沌の世界を創造している。そうすることで、はっきりと映像ではとらえられない現代の不気味さを我々に伝えてくれます。
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コメント
こんばんは!いつもありがとうございます!
DVD特典に「理由を作った理由」というのがあって、その中で監督は「原作通りに作った。」と言っていました。
そうですか、原作と違うところがあるのですか。
この映画が描いている、一番大きな「理由」は、犯人の動機のようでしたが、あたしは、ピントはずれな見方をしてしまいました。
投稿: 猫姫 | 2006/01/23 23:48