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2005/09/23

さゞなみ

製作年:2002年
製作国:日本
監 督:長尾直樹
出演:唯野未歩子 豊川悦司 松坂慶子 きたろう

山形県米沢市。稲子は市の職員として温泉の水質調査をしていた。ある時、彼女はその調査中に便利屋の玉水に出会う。何度か顔を会わせているうちに稲子は玉水に心惹かれていく。稲子の母・澄江は和歌山県太地町でカメラ店を営んでいた。夫はブラジルに渡航しているとき、事故死したと娘には言っていたが…。

まずどっしりとカメラを据えた映像が素晴らしい。ひとつひとつの場面が絵画のように計算された構図で捉えられている。その映像に合わせた静謐なドラマ展開がいい。稲子(唯野未歩子)の思いが台詞でなく映像から強く伝わってくる。

後半の母娘の凌雲峡への旅行が印象深い。小津安二郎監督の「晩春」(1949)を思い出す(こちらは父と娘だったが)。夫、または父の不在でどこか欠落感のある二人であったが、この旅はそれを乗り越え新しい生活へ進んでいく機会になったのであろう。

豊川悦司が好演。どこか崩れている男の哀しさと優しさが見事に表現されている。

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