スパイ・ゾルゲ
製作年:2003年
製作国:日本
監 督:篠田正浩
1930年代。上海で暮らしていた朝日新聞記者の尾崎秀実はゾルゲと出会う。ゾルゲは不安定なアジア情勢をロシアへ報告するスパイだった。尾崎はゾルゲの語る理想に共鳴する。その後、日本へ戻った尾崎は、日本へ派遣されたゾルゲと共にスパイ組織を着々と作り上げていくのだが…。
ロードショー公開時に観た時は、篠田正浩監督の最後に選んだ作品という期待に対し、感情移入できない人物描写に不満が募り、その年のワースト作品に選んだものでした。これで二回目となるが、初見よりもはるかに興味深く鑑賞できた。やはり、こういうことがある。映画の感想とは相対的なものであり、何を主軸にして観るかで大きく変わってしまう。そのことがひとつ。
ゾルゲ(イアン・グレン)にしても尾崎(本木雅弘)にしても命がけで情報収集に働いていたのに、その人生は決して報われることはなかった。彼らのスパイ活動は周囲の人達も深く傷つけてしまう。そこに意義があったのだろうか? ゾルゲが最後に叫ぶ「国際共産主義、ばんざい」が重々しく響く。確かに彼らの夢描いた世界は実現されなかった。ソ連は崩壊し、共産主義は過去の遺物になってしまった。
しかし、である。彼らの行動が歴史を作ってきたことに間違いはない。行動することで何かが変わっていくのだ。最後の「イマジン」の詩は、夢のために働く者へ監督の思いを託したものであろう。そして、一度でいいから「あなたの人生は無駄でありません」と誰かに言ってもらいたいものだ。
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コメント
こんにちは!
長い映画だなぁ・・・と思いました。また、見直すともう少し違う感じ方が出来るのかもしれませんね。
投稿: chibisaru | 2005/08/16 17:14