火火(ひび)
製作年:2004年
製作国:日本
監 督:高橋伴明
焼物の里、滋賀県信楽町。女性陶芸家・神山清子は夫が若い愛人と出奔した後も2人の子を育てながら、江戸時代に失われてしまった穴窯による自然釉の復活に執念を燃やしていた。極貧生活の中で失敗を繰り返しながらも、清子は信念を貫き通す。そして長い歳月を経てついに信楽自然釉の完成に成功するのだが…。
本作品の中の神山清子は偏屈で相当な変わり者である。陶芸家という芸術世界でしか生きられない性格だ。だが、すこぶる魅力的に映る。何故なら彼女には確固たる信念があり、少しも迷いがないからだ。見る側に清々しい気持ちを抱かせる。そんな彼女を田中裕子が好演。厳しさと可笑しさが表裏一体となっている。
どんな偉業を成し遂げた人でも、自分独りの力で達成したものはいない。一生懸命な姿を見て、助けてくれる人が出てくることによってできることなのだ。清子は信楽自然釉の復活という偉業を成し遂げた。それは先生(岸部一徳)が清子を励まし援助を続けてくれたお陰である。骨髄バンク運動もそうである。前半と後半が違う話になっていくように見えるが、実は同じ構造を持っている。必死になって生きていれば、必ず助けてくれる人が出てきてくれる。
高橋伴明監督の演出も素晴らしい。百日草がポイント。息子を迎え入れる道々に咲いている百日草。その花が迎え入れる状況の違いを際立たせ、感情が大いに揺さぶられます。ちなみの百日草の花言葉は「不在の友を思う」というものだそうです。
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