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2005/06/11

パッチギ

製作年:2004年
製作国:日本 
監 督:井筒和幸

1968年、京都。ある日、東高校2年の康介は担任の布川先生から常日頃争いの絶えない朝鮮高校へ親善サッカーの試合を申し込みに行くよう命令を受ける。親友の紀男と共に恐る恐る朝鮮高を訪れた康介は、音楽室でフルートを吹くキョンジャという女生徒に一目惚れしてしまうが…。

改めて歌とはいいものだなぁと実感させてくれた「のど自慢」(1999)から「ゲロッパ!」(2003)を経て、井筒監督はキャリアのピークを感じさせる大傑作を作り上げた。先に挙げた作品でもクライマックスで歌が絶妙に巧く使われていたが、本作品はその完成度が高い。康介が歌う「イムジン河」に合わせて3つの場面が交錯する構成の見事さ。観ていて震えを感じるような感銘を受けます。

その「イムジン河」にイメージを重ねて賀茂川が巧みに使われている。康介がキョンジャに会うために泳いで渡る場面。厳しい現実に直面し康介がギターを叩き壊し川に投げ捨てる場面。終盤で高校生たちが集団で大乱闘になる場面。日本と在日朝鮮人の間に横たわる深い溝を象徴していて何度も登場してくる。

そして一番印象深いのは笹野高史演じる在日一世が康介に向って言う台詞。「お前ら日本のガキ何知ってる。知らんかったら、その先ずーっと知らんやろう!」。歴史認識の甘い私のような者には衝撃を持って響く言葉です。昨今の「韓流ブーム」に対する違和感を端的に表現した屈指の名場面でありました。

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コメント

トラックバックありがとうございました。
「イムジン河」に合わせて3つの場面が交錯するシーンは、
まさに映画だったという気がします。
来月にはビデオも出るみたいなので、
また観ようと思います。
2回書いたので、両方にトラックバックさせてもらいますね。

投稿: えい | 2005/06/12 10:03

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