パッチギ
製作年:2004年
製作国:日本
監 督:井筒和幸
1968年、京都。ある日、東高校2年の康介は担任の布川先生から常日頃争いの絶えない朝鮮高校へ親善サッカーの試合を申し込みに行くよう命令を受ける。親友の紀男と共に恐る恐る朝鮮高を訪れた康介は、音楽室でフルートを吹くキョンジャという女生徒に一目惚れしてしまうが…。
改めて歌とはいいものだなぁと実感させてくれた「のど自慢」(1999)から「ゲロッパ!」(2003)を経て、井筒監督はキャリアのピークを感じさせる大傑作を作り上げた。先に挙げた作品でもクライマックスで歌が絶妙に巧く使われていたが、本作品はその完成度が高い。康介が歌う「イムジン河」に合わせて3つの場面が交錯する構成の見事さ。観ていて震えを感じるような感銘を受けます。
その「イムジン河」にイメージを重ねて賀茂川が巧みに使われている。康介がキョンジャに会うために泳いで渡る場面。厳しい現実に直面し康介がギターを叩き壊し川に投げ捨てる場面。終盤で高校生たちが集団で大乱闘になる場面。日本と在日朝鮮人の間に横たわる深い溝を象徴していて何度も登場してくる。
そして一番印象深いのは笹野高史演じる在日一世が康介に向って言う台詞。「お前ら日本のガキ何知ってる。知らんかったら、その先ずーっと知らんやろう!」。歴史認識の甘い私のような者には衝撃を持って響く言葉です。昨今の「韓流ブーム」に対する違和感を端的に表現した屈指の名場面でありました。
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» 『パッチギ』 [ぺぺのつぶやき]
2004年 日本 119分
監督 井筒和幸
音楽 加藤和彦
脚本 羽原大介、井筒和幸
出演 塩谷瞬、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、真木よう子、小出恵介、波岡一喜、高岡蒼佑
「パッチギ」公式サイト→ココ
ストーリー
1968年、京都が舞台。
松山康介...... [続きを読む]
受信: 2005/06/11 22:04
» パッチギ! [a story]
主演塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、真木よう子
監督・共同脚本井筒和幸
脚本羽原大介
原案松山猛
製作2004年、日本
こんな時代があった
1960代後半の京都を舞台に、日本人の高校生と朝鮮高校の若者たちの喧嘩と友情と恋愛を描いた作品。ストー... [続きを読む]
受信: 2005/06/11 23:36
» 『パッチギ!』再び [ラムの大通り]
-----あれっ、『カナリア』は行かなかったの?
「うん。急にインタビューの仕事が入って
もう一度「パッチギ!」を観ておいた方が
いいだろうということになったんだ。
この映画は一回紹介してるので、
改めて喋るのは止めるけど、
こんどはディテールまでじっくり観た。
すると、
現代を生きる若者へのメッセージを早めに出して
それを伏線にクライマックスを作ってることとか、
当時の流行や風俗も比較的前半に出して早めに観客をつかみ、
あとはド�... [続きを読む]
受信: 2005/06/12 10:03
» 『パッチギ!』(えいwithフォーン) [ラムの大通り]
--------『パッチギ!』とはまた不思議なタイトルだにゃ。
これは井筒監督の映画だよね。
「うん、もうこれは彼の最高傑作。
68年に生きた若者の青春を
現代にまで影を落としている朝鮮問題と絡めて描き、
娯楽性と社会性がみごとなまでに融和。
<これぞ映画>って感じだね」。
--------『69 sixty-nine』も同じ時代を描いて話題になった作品だよね。
「実はぼくは、あの映画には不満があるんだ。
『69 sixty-nine』は普遍性があ... [続きを読む]
受信: 2005/06/12 10:04
» 映画「パッチギ!」。ネタバレあり。 [ある在日コリアンの位牌]
著者: 朝山 実, 羽原 大介, 井筒 和幸
タイトル: パッチギ!
今日、新宿・歌舞伎町で井筒和幸監督の「パッチギ!」を見てきました。パッチギといのは日本語で「頭突き」という意味です。1968年の京都を舞台に、朝鮮学校に通う朝鮮人高校生と日本の高校生たちの青春を描いた作品です。
朝鮮学校・学生を舞台した映画と言えば、私が見た中では、「青〜chong〜」(李相日監督、1999... [続きを読む]
受信: 2005/06/13 21:17
» パッチギ! [ネタバレ映画館]
自腹で見なきゃいけないと思いつつ貯まったポイントで観てしまった。「横山ホットブラザーズはこの時期にはもう活躍していたんだなぁ」と妙なところに感心しつつも、見事な青春映画に仕上がったと感じましたよ!
発売中止という措置を取られた「イムジン河」を二人の恋愛のメインに置いた、“ロミオとジュリエット”風に対立していた高校生の物語。単にヤクザな世界を描いてきた今までの井筒作品とは異なり、日本と朝鮮の歴史にも深く切りこ�... [続きを読む]
受信: 2005/06/14 19:04
» パッチギ! [月影の舞]
「パッチギ!」
2005/日本/監督:井筒和幸
ものすごく深いテーマを笑いに包み込んで
さわやかにして、おもろしい青春映画にしたねって感じ。
ロミオとジュリエットというふうに悲恋を押し出してないとこがいい。
恋物語よりも友情の方がいい感じになっている。
お笑いネタや下ネタなどのコネタが多くはさみこんであり、
しゅっちゅう笑わせてもらった。
年齢、地域限定ネタもあるけど�... [続きを読む]
受信: 2005/06/15 12:20
» パッチギ!/塩谷瞬、沢尻エリカ、高岡蒼佑、オダギリジョー [カノンな日々]
そのうち発売されるであろうDVDで観ればいいかなと思っていたのだけど、ちょくちょく行く映画館での公開が始まったので遅ればせながら観に行ってきました。井筒監督の作風は個人的な好みとしてはビミョーなとこに位置にあって、1つの映画の中で好きと思えるとこと拒絶したく... [続きを読む]
受信: 2005/06/21 22:06
» パッチギ [悩み事解決コラム]
{amazon}
現在公開中の「{{7011,パッチギ}}」を拝見してきました。黒沢清監督が言うように
映画は家でレンタルビデオ借りてきてみるものは映画ではなく、まさに
全く感動しないものも [続きを読む]
受信: 2005/07/15 20:41
» パッチギ! 今年の166本目 その2 [猫姫じゃ]
パッチギ!
年代としては、1968年。
ま、うちとは、ちょっと年代は違うケド、時代考証、完璧ちゃうん??
最初、「音楽 加藤和彦」て出てきて、???やったんやケド、
すぐにわかったわ。これなんやね。
うち、カラオケで、たまに歌います、フォークル。... [続きを読む]
受信: 2005/08/08 01:36
» 「パッチギ」 [ひらりん的映画ブログ]
映画館で観ようと思ってて、見逃した作品をDVDで。
井筒監督が自ら、テレビで宣伝してたよね。
2004年製作の青春ドラマ、119分もの。
あらすじ以下ネタバレ注意↓(反転モード)
60年代の京都。
高校二年の康介はグループサウンズに影響を受けたりしてる普通の高校生。
ある日、担任から日頃から仲の悪い朝鮮高校にサッカーの親善試合の申込みをしに行かされる。
そこで見かけたフルートを吹く女学生・キョンジャ(... [続きを読む]
受信: 2005/08/10 00:49
» パッチギ! [Akira's VOICE]
フォークに目覚めた康介と,朝鮮学校に通うキョンジャ。
二人の京都青春恋愛物語。
[続きを読む]
受信: 2005/08/13 18:39
» 映画を見たで(今年102本目)−パッチギ− [デコ親父は減量中]
監督:井筒和幸
出演:塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、真木よう子、小出恵介、波岡一喜、オダギリジョー、加瀬亮、キムラ緑子、余貴美子、大友康平、前田吟、光石研
評価:98点(100点満点)
1968年の京都が舞台。
在日朝鮮人部...... [続きを読む]
受信: 2005/08/27 19:07
» 『パッチギ!』 [京の昼寝〜♪]
■監督 井筒和幸
■キャスト 塩屋瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、オダギリジョー、光石研、笹野高史、余貴美子、前田吟
殴り合ったら、同じ色の血が流れた。
誰かが線を引いたなら、俺が線を消してやる。
歌いたい歌を、歌うんじゃ。
今こそ、愛だせっ。
胸ときめく切ない恋と涙あふれる熱い友情、そして思わず顔をしかめる程の激しいリアル・ファイトに満ち、無軌道な若者たちが不条理な社会の荒波�... [続きを読む]
受信: 2005/09/01 20:32
» 『パッチギ!』、観ました。 [肯定的映画評論室・新館]
パッチギ ! スタンダード・エディションハピネット・ピクチャーズこのアイテムの詳細を見る
『パッチギ!』、観ました。
1968年、京都。高校2年生の康介は、担任からの指示で親友の紀男と敵対する
朝鮮高校に親善サッカーの試合を申し込みに行く。そこで康介は音楽室で
フルートを吹くキョンジャに一目惚れするが……。
大スターはなくとも強烈な個性をいかすキャスティング、、なかなか良いじゃ〜
ありませんか。... [続きを読む]
受信: 2005/09/30 20:49
» パッチギ!・・・・・ [サクっと]
パッチギ ! スタンダード・エディション
虎ノ門でおなじみ?井筒監督作品
「パッチギ!」
世間での評価の高い作品なので、かなり期待 [続きを読む]
受信: 2005/10/27 01:02
» パッチギ! [イケナイ宝箱 ~ようこそ鬱の世界へ 素樹文生]
『パッチギ!』 を、観たぞー。
なかなかによいね。コレは。
井筒和幸監督って、テレビで騒いでる怖いだけのオッサンなのかと思ったら、こんなきちんとしたもの作れるんだね。そんな時間、どこにあるんだろ?(と思ったら『岸和田少年愚連隊』も井筒監督だった。これも千原... [続きを読む]
受信: 2005/10/31 13:31
» パッチギ! [琴線〜心のメロディ]
【2005年1月22日劇場公開】
【ジャンル:青春ドラマ】
【観た場所:レンタル・DVD】
面白かった度:{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}
オススメ度:★★★★
もう一度観たい度:{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}
すごくいい映画でしたー!{/usagi/}
邦画を観るのは今年2本目。
これでも、‘洋画しか観ない派’の私としては、2本も観れば
「�... [続きを読む]
受信: 2005/12/04 23:07
» DVD『パッチギ!』 [みかんのReading Diary♪]
パッチギ!(2005/日本)
1968年の京都。東高校2年の松山康介はある日、担任の布川先生から指示を受け、常日頃争いの絶えない朝鮮高校へ親善サッカーの試合を申し込みに行くハメになった。そして、親友の紀男と共に恐る恐る朝鮮高を訪れた康介は、音楽室でフルートを吹くキョンジャという女生徒に一目惚れしてしまう。間もなく彼女の兄が朝鮮高の番長アンソンであることも知る康介。それでも彼はキョンジャと仲良くなるため、楽器店で知り合った坂崎からキョンジャが演奏していた『イムジン河』という曲を習い、彼女の前... [続きを読む]
受信: 2006/01/23 10:14
» 「パッチギ!」 [雑板屋]
井筒監督作は個人的にも当たり外れがあるけれど、この青春ケンカ映画はそこそこ楽しめた。
勉強よりも何よりもけんかに明け暮れてるような熱い青春の時代なんて、あっという間に過ぎるわけだし、多少の無茶や無理も許してもらえるこの時期は成長の過程でとても大切だと思....... [続きを読む]
受信: 2006/02/03 15:26
» パッチギ! [映画、言いたい放題!]
私の周りでとても評判がよく
やっとDVDを借りて見ました。
政治的配慮から発売中止となり、
放送も自粛されてきた「イムジン河」が発表された翌年の1968年の京都。
朝鮮学校の少女に一目惚れした日本人高校生の恋の行方と奮闘記。
日本の高校生と朝鮮高校の対立、北朝鮮へ... [続きを読む]
受信: 2006/03/26 01:37
コメント
トラックバックありがとうございました。
「イムジン河」に合わせて3つの場面が交錯するシーンは、
まさに映画だったという気がします。
来月にはビデオも出るみたいなので、
また観ようと思います。
2回書いたので、両方にトラックバックさせてもらいますね。
投稿: えい | 2005/06/12 10:03