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2005年6月

2005/06/30

スチームボーイ

製作年:2004年
製作国:日本
監 督:大友克洋

世界初の万国博覧会を控えた19世紀半ばのイギリス。発明一家スチム家に生まれた13歳の少年レイのもとに祖父ロイドから謎の金属ボールが届く。だが、オハラ財団の使者を名乗る者たちがそのボールを奪いにやって来る。レイはボールを抱えて逃げるが、結局その一味に捕まってしまう。そこで父エディと出会うのだが…。

少年が大人になっていくときとはどのようなものであろうか。レイは祖父と父親という信頼すべき大人から全く別のことを言われて大いに混乱する。その中から何を信じていくべきか。自分の価値観を探り自分の生き方を選んでいくときにこそ、少年から大人になっていくのではないでしょうか。

大友監督と言えば「AKIRA」(1988)のようなサイバーパンクの印象が強く残っているので、少年を主人公としたストレートな冒険ドラマに驚きました。

そして、スチーム城などメカニックのディティールも綿密に描き込まれていて、その描写力にも感嘆しました。

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2005/06/29

夜を賭けて

製作年:2002年
製作国:日本/韓国
監 督:金守珍
原作:梁石日
出演:山本太郎 柳賢慶 李麗仙 清川虹子

1958年大阪。未だ戦争の跡が色濃く残る町の元兵器工場近辺に、朝鮮人集落が存在していた。ある時、その住人のヨドギ婆さんが工場跡地から鉄屑を掘り起こして大金を得た。その噂は瞬く間に広がって、皆が一発当てようと浮かれている時、かつて集落に住んでいた金義夫が帰ってくるが…。

本作品を観たのは2003年の名古屋シネマスコーレ20周年記念イベントに参加して、若松孝二監督と金守珍監督のトークショーを聞いた翌日のことでありました。金監督のリアリズムよりもダイナミックでエネルギッシュな演技を求めたという演出意図を思い出しながら観られて実に興味深かったです。何も聞かないで観ていたら、また感想は違っていたと思います。

そして、韓国で組まれたという義夫(山本太郎)らが暮らす“アパッチ”たちの集落のオープンセットにも迫力があり、大いに感心しました。

この時期に合わせて場内改装したシネマスコーレで鑑賞しました。かつて名古屋で住んでいたときに、文字通り数え切れないくらい通い詰めた映画館です。椅子はゆったりとなり、壁紙はきれいになり、音響も良くなりと、いい劇場になりました。そういう思い出と共に残る作品です。

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2005/06/28

ハッシュ

製作年:2001年
製作国:日本
監 督:橋口亮輔

ペットショップで働く直也は気ままなゲイライフを送っており、周囲にゲイであることを隠しもしない。それに対して、土木研究所で働く勝裕は、自分がゲイであることを隠して生きている。そんな2人はやがて付き合うようになっていく。ある時、二人は歯科技工士の朝子と偶然に知り合うが…。

もちろん橋口亮輔監督の演出によるものでもあるだろうが、片岡礼子、高橋和也、田辺誠一の3人が素晴らしい。それぞれの悲しみや怒り、喜びが、ヴィヴィッドに伝わってきます。そして、秋野暢子の迫真の演技にも感嘆しました。

ゲイに関連したジョークをたくさんとり入れ、クスクスと笑わせながら、新しい家族のあり方をさらりと描く。人間描写が卓越しており、独特の雰囲気が映画全体を包んでおります。

ラストシーンがまたいいです。ほのぼのとした情感を残します。

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2005/06/27

ピアニスト

製作年:2001年
製作国:フランス/オーストリア
監 督:ミヒャエル・ハネケ
原作:エルフリーデ・イェリネク
出演: ブノワ・マジメル
   アニー・ジラルド アンナ・シガレヴィッチ

子供の頃から母の夢でもあったピアニストになるため、母親に厳しくしつけられたエリカ。しかし、ピアニストにはなれず、名門国立音楽院でピアノ教授となっていた。異性に触れることもなかったエリカだったが、ある時、生徒のワルターから恋の告白を受けるのであるが…。
第54回カンヌ映画祭で審査員特別グランプリ、イザベル・ユペールが主演女優賞、ブノワ・マジメルが主演男優賞を受賞。第27回セザール賞でアニー・ジラルドが助演女優賞を受賞。

上記のようにカンヌ国際映画祭で3部門受賞したという以外、内容的には前知識もなく観ました。ポスターのイメージから音楽家の恋愛ドラマだろうと予想していたら、あまりの凄まじい内容に唖然としてしまいました。まず、この驚きがひとつ。

その内容については語りませんが、席を立ちたくなるような居心地の悪さをおぼえました。この感じは若松孝二監督の「水のないプール」(1982)を見て以来のことであります。

もっとも不可解だったのは、幕切れのエリカ(イザベル・ユペール)の行動。自殺にしてはあまりに中途半端だし、怒りの納めどころをなくし思い余って自分の胸を突いたのかと思っておりました。しばらくしてキネマ旬報を読んでいたらこの行動の意味を解説してあり、大いに感銘を受けました。彼女が傷つけていたのは、指先に関係する筋らしい部分であり、つまり、そこを切断すればピアニストとしてのキャリアを終えるということであったのだ。そうであれば、私が漠然と感じていたことでなく、非常に重要な意味を持つ場面になる。彼女を束縛してきた世界から自ら解放し、新たな旅立ちととらえることもできるのだ。映画を読み解くという事は実に奥の深いものである。

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2005/06/26

めぐりあう時間たち

製作年:2002年
製作国:アメリカ
監 督:スティーブン・ダルドリー

1923年ロンドン郊外。ヴァージニア・ウルフは新作「ダロウェイ夫人」を書き始める。1951年ロサンゼルス。妊娠中の主婦ローラは夫の誕生日を祝うためケーキを焼く。2001年ニューヨーク。編集者のクラリッサはエイズに冒された友人のリチャードが名誉ある賞を受けた記念のパーティを企画するが…。
第75回アカデミー賞でN・キッドマンが主演女優賞を受賞。第53回ベルリン国際映画祭で主演3人そろって主演女優賞を受賞。

本作品を二回観ています。最初観た時に掴めなかった事が、二回目でやっと捕らえることができました。つまり、この映画は様々な死と向き合う事で生を取り戻していく女性の一日のドラマなのである。

一番取り違えていたのは、ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)の話。冒頭と最期に挿入される彼女の入水自殺。彼女は人生の敗残者として死んでいくのではない。精神病の再発を恐れ、自分の望むような生活を生きられない彼女は、その夜に覚悟した。「もし、病気が再発したらその時は自ら命を絶とう。その時が来るのを恐れずに精一杯に生きていこう」と思い定めた夜であったのだ。自殺の結論には正しいかどうかは議論の分かれるところである。これは一種の尊厳死であったのだ。少なくとも、彼女は自分の死期をはっきりと決めたことで、改めて生を取り戻したのは間違いない。

冒頭で流れる夫への遺書の言葉は、その後の人生を懸命に生きた彼女の悔いなき日々を綴ったものだ。ローラ(ジュリアン・ムーア)もクラリッサ(メリル・ストリープ)も、死と直面することで、その夜に改めて生きていくことを決意した一日であった。そういう三人の人生が重なる。

徐々に徐々に感情を高ぶらせるフィリップ・グラスの音楽も素晴らしかった。

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2005/06/25

スパイダー

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:リー・タマホリ

ワシントンの一流私立学校キャシドラル・スクールで、上院議員の娘ミーガンが誘拐される。2年ものあいだ、教師になりすましていたゲイリー・シーンジが厳重な警戒をかいくぐり犯行が遂行された。著名な犯罪心理捜査官アレックス・クロスの著作を読破していたソーンジは、クロスに捜査を担当するよう要求するが…。

ミステリーものとして大変面白く観られた。前作の「コレクター」(1997)についてはあまり覚えていないのだが、モーガン・フリーマン演じる主人公アレックス・クロスは実に魅力的。二転三転する展開もなかなかである。

身代金の受け渡し場面が、黒澤明監督の「天国と地獄」(1963)やドン・シーゲル監督の「ダーティー・ハリー」(1963)を連想させる。オリジナリティーの欠如というよりは、映像表現の継承として捉えておきたい。

不満はプロローグ。囮捜査の失敗で同僚を死なせてしまったクロスの苦悩がその後の展開にあまり絡まず、あれなら無くてもいい。

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2005/06/24

スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする

製作年:2002年
製作国:フランス/カナダ/イギリス 
監 督:デイヴィッド・クローネンバーグ

ロンドンの古びた家へ鞄ひとつ持ってやってきた男がいた。そこは精神療養施設を退院して、行く当てのない患者を預かる家だった。薄暗い部屋で、男は小さなノートに何かを書き始める。彼の記憶の中には、現実とも妄想ともつかないもうひとつの過去が、静かに糸を張り巡らせていたが…。

鬼才D・クローネンバーグ監督の作品なので、心の準備は万端。「戦慄の絆」(1988)や「裸のランチ」(1991)を観ていれば、この程度の難解さは予定調和と言っても良い。

もっとも興味深いのは現実と虚構の狭間を行ったり来たりして、その境界性が曖昧になるところ。その感じが塚本晋也監督の「ヴィタール」(2003)を想起させます。

統合失調症(精神分裂症)の男をレイフ・ファインズが迫真の演技で見せる。彼が抱え込む心の闇がひしひしと伝わってきます。

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2005/06/23

スイミング・プール

製作年:2003年
製作国:フランス/イギリス 
監 督:フランソワ・オゾン

創作活動に行き詰まっていた女流ミステリー作家サラは、出版社社長ジョンの勧めで南仏の彼の別荘を訪れる。そこは明るく静かで、執筆できる最適な場所だった。しかし、サラがいよいよ仕事に取り掛かろうとした矢先、突然社長の娘ジュリーが別荘にやって来る。そして2人の奇妙な共同生活が始まるが…。

一体、これをどう読み解けばいいのか。エンドロールが流れる瞬間まで謎があきらかにならない本作品は、どこかデヴィッド・リンチ監督を想起させる展開でした。

どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。その境界性を見極める作業が鑑賞後から始まります。その解釈をいろんな方から聞いてみたくなる作品でした。ちなみに私の解釈は、リュディヴィーヌ・サニエ演じるジュリーは、サラ(シャーロット・ランプリング)の創造する小説内の人物であるというものです。

サラが到着したときは、ごみで濁り汚れ果てたスイミング・プール。サラが生活するうちに、透明感のある鮮やかな青に変わっていきます。このプールは、サラの創作意欲を象徴するものと思いました。

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2005/06/22

危険な関係

製作年:1988年
製作国:アメリカ
監 督:スティーヴン・フリアーズ
原作:ピエール・コデルロス・ド・ラクロ

18世紀、パリ。ある日、貴族社会の社交界に君臨するメルトイユ侯爵夫人は恋人のバスティード伯爵が若い娘と結婚するという噂を聞く。面白くない夫人は遊び仲間でかつての愛人でもある社交界きってのドンファン、ヴァルモン子爵にその結婚相手セシルを誘惑するように依頼するが…。
第61回アカデミー賞で脚色賞、美術監督賞、美術装置賞、衣装デザイン賞の4部門を受賞。

この原作を翻案した韓国映画、イ・ジェヨン監督の「スキャンダル」(2003)も良かったが、久々に観た本作品も、その興趣は色あせなかった。秀作となった要因はいくつもあるが、その最たるものは俳優たちの迫真の演技によるものだ。感情の流れを微妙な表情の変化で見せているところに唸った。

本作品は、朝、メルトイユ侯爵夫人(グレン・クロース)とヴァルモン子爵(ジョン・マルコヴィッチ)の二人がそれぞれ衣装を身にまとい化粧をするところから始まり、夜、メルトイユ侯爵夫人の化粧を落とすところで終わっていく。この対比が物語の流れを象徴しており、よく工夫された構成である。

もうひとつ対比の妙が効いている場面がある。ヴァルモン子爵がトウールヴエル夫人(ミシェル・ファイファー)に別れを切り出すところ。彼は何度も何度も「これは理屈ではないんだ」と繰り返す。だが、自分の面子のためにそうしているのであって、本当の自分の感情では別れたくない。「理屈でないない」と言いつつ、実は理屈で語っていることを感じさせる逆説的効果の強いシーンであった。

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2005/06/21

チェルシーホテル

製作年:2002年
製作国:アメリカ
監 督:イーサン・ホーク

かつて画家や小説家、ミュージシャンなどのアーティストたちが愛したチェルシーホテル。長く滞在するものもいれば去るものもいる。グレースは詩人を夢見ながら、ウェイトレスとして働いている。そんなグレースに想いを寄せる画家のフランク。初老の作家バドは酒と女が欠かせないでいるが…。

イーサン・ホークが初めて監督し、ユマ・サーマンが出演している作品というぐらいにしか前情報を知らなかった。これだけ物語性が希薄でイメージショットが続く内容とは思わなかった。一般受けするような映画ではない。

本作品の主役はホテルそのもの。かつてアーティストを多く滞在させてきた伝説のホテルの壁に、その思いや夢の残像が写っているようだ。しかも全編がポエムの世界。登場人物たちの話す台詞自体が詩になっている。そこには求めても得ることができない挫折感や孤独感が色濃くにじみでている。

この辺を味わうことができないと、本作品は退屈でどうしようもないまま終ってしまうのでしょうね。

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2005/06/20

エイプリルの七面鳥

製作年:2003年
製作国:アメリカ 
監 督:ピーター・ヘッジズ

エイプリルはニューヨークのアパートで恋人のボビーと暮らしていた。自由奔放な彼女は母親のジョーイとは事あるごとに衝突し、やがて家を飛び出していた。だがある日、ジョーイが癌で余命わずかであると知る。そこで感謝祭に何年も会ってない家族全員を招待し、七面鳥のローストを振る舞おうとするが…。

まずなんと言ってもシナリオが抜群にうまい。ドラマの進行に合わせて、家族たちの過去が少しずつ明らかになっていきます。説明的でなく、さりげない会話の中で語らせるところが絶妙です。人物造型も秀逸で、陰影深く活写されております。

そして、この物語の中で、幾つもの“もし”を感じさせます。もし、エイプリル(ケイティ・ホームズ)が、ボビー(デレク・ルーク)と出会っていなければ、家族たちを招待しようとする発想自体浮かばなかっただろう。もし、ガスコンロが故障していなければ、インスタントで味気ないディナーとなり家族は寒々しい気持ちになっていただろう。もし、ジョーイ(パトリシア・クラークソン)がレストランのトイレで、母親に叱り付けられた少女を見なかったら、もう一度エイプリルに会いたいと思わなかっただろう。これらの天命とも思える出来事によって家族の和解は成し遂げられる。そしてこの物語が奇跡的と思わせるのだ。

また、小道具のカメラも効果的に使われている。最初はあまり重要性を感じさせなかったが、最後であのように使うとは。写真に残された情景が心の琴線に触れ、大いに号泣いたしました。

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2005/06/19

ペイルライダー

製作年:1985年
製作国:アメリカ
監 督:クリント・イーストウッド

ゴールド・ラッシュ時代のカリフォルニア、カーボン峡谷。他の峡谷が鉱山会社を経営するラフッドに牛耳られている中で、このカーボンだけは独自の採掘権を保持していた。だが、この峡谷を手にしようするラフッドから激しい嫌がらせを受けていた。その争いに巻き込まれ、ミーガンは愛犬を失ってしまうが…。

森でミーガン(シドニー・ペニー)が殺された犬の墓前で神に奇跡を願うシーンと、エンドクレジットの背景で映された山々。それらが霧で徐々に覆われていく。物語の始めと終わりに霧が絶妙に使われ、神秘的な雰囲気をかもし出す。「ベアーズ・キス」(2002)でもそうだったが、霧は幽玄な世界への前奏曲である。

ストーリー自体は特別に目新しいものでなく、主人公の設定などは自作の「荒野のストレンジャー」(1972)と似たニュアンスもある。しかし、その見せ方が卓越している。クリント・イーストウッド演じる牧師の正体をそれとなく暗示させながら、はっきり描かぬところが深い余韻を残す。

印象深い場面は、牧師とハル(マイケル・モリアーティ)が巨大な石をハンマーで叩き壊そうとするところ。嫌がらせに耐えかね気持ちがバラバラになっていた峡谷の人々が、二人の熱気にほだされて再び気力が呼び起こされる。一点に集中している者の姿は、多くの人の目をひきつけて離さないし、力も湧いてくる。

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2005/06/18

アンタッチャブル

製作年:1987年
製作国:アメリカ
監 督:ブライアン・デ・パルマ

1930年9月シカゴ。エリオット・ネスは財務省から特別調査官として派遣される。禁酒法の下で密造酒をめぐりギャングたちの縄張り争いは次第にエスカレートし、市民の生活を脅やかしていた。中でもアル・カポネのやり方はすさまじく、シカゴのボスとして君臨していた。ネスはカポネを逮捕しようとするが…。
第60回アカデミー賞でショーン・コネリーが助演男優賞を受賞。

最大の見せ場となったセントラル駅での「階段落ち」の場面がやはり圧巻だった。スローモーションの中で激しい銃撃シーンが繰り広げられ、静謐で敬虔な思いにとらわれる。

そして、アル・カポネを演じたロバート・デ・ニーロの存在感も凄まじい。宴席で野球の話をしながら、突然バットで男を叩き殺すシーンなどゾォーとするような狂気を感じさせる。

ただ、心理描写の掘り下げ方が浅く感じるところもあった。特に気になったのはマローン(ショーン・コネリー)がネス(ケヴィン・コスナー)に協力を決意するところ。彼が正義の志を捨て去らず、未だパトロール任務でいることへの鬱積があることは分る。が、ネスの協力依頼を一度断ってから承諾するまでの心理の変化がよく分らない。仲間の警察官から疎まれ、生命の危険すらある任務である。多くの修羅場をくぐり抜けてきた彼はそうした事を十二分に知っている筈だ。それなのに何故任務を引き受けようと決断したか? こういう所が甘いと作品に深みを感じなくなる。

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2005/06/17

シャーク・テイル

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:ヴィッキー・ジェンソン/ビボ・バージェロン/ロブ・レターマン

オスカーはクジラの身体を洗う“ホエール・ウォッシュ”で働く小魚のホンソメワケベラ。口が達者でお調子者の彼は、いつかはこのリーフシティで成功者になるという夢を抱いている。一方、街の大ボス、ホオジロザメのドン・リノを父に持つベジタリアンのサメ、レニーはサメの生き方になじめず悩んでいたが…。

ハリウッドスターをずらりと並べた豪華な声優陣はやはり楽しく、あっという間の1時間30分であった。だが、その面白さは予想済みのものであり、それ以上の驚きを感じられなかった。物語は「ゴッドファーザー」(1972)など様々なパロディに満ち溢れている。それらを知っていればクスクスと笑えるのであろうが、分らない者にはピンとこない描写が多い。

例えば、これも鑑賞後に知っていたことであるが、電気クラゲのアーニーの声を演じたジギー・マーリィはボブ・マーリィの息子であったとの事。どおりでレゲエのことやボブ・マーリィの話題が出てくる筈だ。

本筋のオスカーとレニーの成長ドラマがありがちなものなので、元ネタを知っていないと本作品を楽しむことはできないでしょう。

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2005/06/16

雨あがる

製作年:1999年
製作国:日本
監 督:小泉堯史

享保の時代。浪人の三沢伊兵衛とその妻は、長雨のため川を渡れず安宿で足止めをくっていた。ある日、若侍の争いを難なく仲裁した三沢は、通りかかった藩主・永井和泉守に見そめられ城に招かれる。三沢が剣の達人であることを知った和泉守は、彼を藩の剣術指南番に迎えようとするが…。
第56回ヴェネチア国際映画祭で緑の獅子賞を受賞

三沢(寺尾聰)の行く手を阻む雨。その性格から職を辞することが続いているが、諦めずに仕官の道を求め続ける不安定な心理を表現した雨であると思いました。また、「未練は切って捨てました」という台詞の時には、気持ち良い晴れの日になっていて、気候と感情が巧みに重なっているところを大いに感心いたしました。

日頃は優しげな表情を浮かべ弱者に救いの手を差し伸べる三沢。だが、いざ剣を抜いた時の迫力がたまらない。一瞬で凛とした雰囲気が画面に広がる。この対比も見事。

胸に残る台詞が一つ。「勝った者の優しい言葉は負けた者の心を傷つける」。ここに仕官をしくじり続ける三沢の姿が凝縮されております。

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2005/06/15

狗神

製作年:2001年
製作国:日本
監 督:原田眞人

四国の山奥にある小さな村。孤独に和紙づくりを続ける41歳の女性、美希は村を訪れた新任教師、晃と出会い愛し合うようになる。彼女は急速に若返っていくが、それと同時に村では奇怪な事件が相次ぐ。美希は村人たちから忌み嫌われる坊之宮家の狗神筋の家系であったが…。

二回目の鑑賞となるので物語の展開を分っている。途中でサプライズも用意されているのだが、その伏線もしっかりしているので見飽きることがない。

そして、映像が素晴らしく画面に釘付けとなってしまった。特に美希(天海祐希)の紙漉きの場面をなんと官能的に捉えていることか。また、「思うがです」などの土佐弁の響きが耳に心地よかった。

ただ、あの結末が疑問。あまりに唐突すぎる。観客の想像にゆだねるにしても、もう少し美希と晃(渡部篤郎)の行方を知りたかった。終盤までよかっただけにそこが残念。

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2005/06/14

ローレライ

製作年:2005年
製作国:日本
監 督:樋口真嗣

1945年。広島に原子爆弾が落とされ太平洋戦争は終局を迎えようとしていた。海軍軍令部の浅倉大佐は、さらなる原爆投下を阻止すべくドイツ軍から接収した戦利潜水艦・伊507を使って最後の作戦を実行に移す。現場を離れていた絹見少佐を艦長に抜擢し、テニアン島への奇襲攻撃を命じるが…。

いろんなところで本作品の感想を目にするが、かなり賛否両論が激しく駄目な方は徹底的に批判されております。私もその批評にうなずくポイントも多々ありますし、柳葉敏郎の演技などあまりに作為的で不自然に感じるところもありました。

しかし、自分の中では不思議と許容できてしまっている。過酷な状況に怯むことなく戦い続ける者たち。そんな冒険小説的ドラマを本質的に好み、大いなるロマンを感じたからでしょう。

また、朝倉大佐(堤真一)の抱く作戦を否定することは簡単であるが、それが現代の日本に対して鋭い批評となっていることも忘れがたい。

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2005/06/13

機動警察パトレイバー THE MOVIE

製作年:1989年
製作国:日本
監 督:押井守

1999年、東京。人型作業ロボット“レイバー”が工事現場や警察で導入され活躍していた。大規模な東京湾改造計画、バビロン・プロジェクトにもレイバーが大量投入されていた。一方、レイバーが突如暴走するという事件が多発していた。警視庁特車二課の篠原遊馬は事件を担当し、計画的犯罪であることを知るが…。

これで三回目となる鑑賞だが、やっぱり面白い。以前見たときとはピンとこなかったOSとかハグとか言うコンピューター用語がすっかり身近なものになってきている。その感慨がひとつ。

虚無感漂う映像世界。壮大な破壊行為を求める犯人の造形。聖書をキーワードに謎を追い駆ける展開等に引き込まれる。

特殊車輌二課の後藤隊長の存在観もいい。日頃は茫洋としているのに、ここぞと言う時にほとばしる叡智の切れ味が小気味好い。

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2005/06/12

キューティーハニー

製作年:2003年
製作国:日本
監 督:庵野秀明

如月ハニーはミスを連発してもめげない明るいだけが取り得の派遣OL。そんな彼女の正体は、世界屈指の科学者・如月博士により創り出された無敵のパワーを持つアンドロイド“キューティーハニー”であった。そんなハニーの能力を我が物とすべく、謎の秘密結社パンサークローの魔手が迫っていたが…。

荒唐無稽のシークエンスを楽しみ、内容に期待するタイプの作品ではないと思っていたが、意外と心に残る場面があった。

まずハニー(佐藤江梨子)の横顔に孤独の影が色濃く映されているところ。ラストシーンで秋夏子警部(市川実日子)や早見青児(村上淳)たちが立っていっても、一人ベンチに座り続けるハニーの寂しげな表情が忘れられない。「新世紀エヴァンゲリオン」(1995)や「ラブ&ポップ」(1998)、「式日」(2000)を撮った庵野監督の系譜であることを感じる。

そして、蜘蛛のようなコバルト・クロー(小日向しえ)との戦いも印象深い。「憎しみの炎は自分自身も焼き尽くす」という述懐が重く響く。

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2005/06/11

パッチギ

製作年:2004年
製作国:日本 
監 督:井筒和幸

1968年、京都。ある日、東高校2年の康介は担任の布川先生から常日頃争いの絶えない朝鮮高校へ親善サッカーの試合を申し込みに行くよう命令を受ける。親友の紀男と共に恐る恐る朝鮮高を訪れた康介は、音楽室でフルートを吹くキョンジャという女生徒に一目惚れしてしまうが…。

改めて歌とはいいものだなぁと実感させてくれた「のど自慢」(1999)から「ゲロッパ!」(2003)を経て、井筒監督はキャリアのピークを感じさせる大傑作を作り上げた。先に挙げた作品でもクライマックスで歌が絶妙に巧く使われていたが、本作品はその完成度が高い。康介が歌う「イムジン河」に合わせて3つの場面が交錯する構成の見事さ。観ていて震えを感じるような感銘を受けます。

その「イムジン河」にイメージを重ねて賀茂川が巧みに使われている。康介がキョンジャに会うために泳いで渡る場面。厳しい現実に直面し康介がギターを叩き壊し川に投げ捨てる場面。終盤で高校生たちが集団で大乱闘になる場面。日本と在日朝鮮人の間に横たわる深い溝を象徴していて何度も登場してくる。

そして一番印象深いのは笹野高史演じる在日一世が康介に向って言う台詞。「お前ら日本のガキ何知ってる。知らんかったら、その先ずーっと知らんやろう!」。歴史認識の甘い私のような者には衝撃を持って響く言葉です。昨今の「韓流ブーム」に対する違和感を端的に表現した屈指の名場面でありました。

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2005/06/10

ミッション・クレオパトラ

製作年:2002年
製作国:フランス
監 督:アラン・シャバ

紀元前52年。エジプト女王クレオパトラは、ローマ皇帝・シーザーの支配下にあった。彼女は「ローマは偉大」と自賛するシーザーに辟易し、何とかその鼻を明かそうとする。そして、わずか90日間で砂漠の真ん中に宮殿を建てると公言する。女王は建築家のニュメロビスに宮殿建築を命じるが…。
第28回セザーヌ賞で衣装デザイン賞を受賞。

どうもキャラクター造形に説明不足があるなぁと思っていたが、鑑賞後にクリスチャン・クラヴィエとジェラール・ドパルデュー、コンビの「アステリクスとオベリクス」のシリーズ2作目であったことが分かる。それで納得した。この作品の日本での上映はフランス映画祭横浜の1度だけようでDVDの発売もないようです。私は全く知りませんでした。

さて、本作品は独特の笑いのパターンがあり、面白いと感じるか否か観る人のセンスを選びそう。ショットのテンポがよく何も考えず見ている分には心地良い。

歴史的な知識があると興趣を増すだろうとは思います。

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2005/06/09

ブッシュ・ド・ノエル

「ブッシュ・ド・ノエル」★★★★(BS)
1999年フランス 監督:ダニエル・トンプソン
出演:サビーヌ・アゼマ エマニュエル・ベアール
   シャルロット・ゲンズブール クロード・リッシュ

12月21日、パリ。イヴェットの2番目の夫の葬式が執り行われている。葬式にはイヴェットの3人の娘たちも参加する。しかし、3人はそれぞれに自分たちの悩みを抱えていて、イヴェットの思い出話にもどこかうわの空であった。そんな彼女たちにさらなるトラブルが降りかかるのだが…。

第25回セザール賞でS・ゲンズブールが助演女優賞を受賞。

恋愛に悩む姉妹同士の葛藤というと、向田邦子原作、森田芳光監督の「阿修羅のごとく」(2003年)を連想させますが、その悩み方は日本とは違っており、いかにもフランス映画だと思わせる。

まぁ、とくかく出てくる人たちがみな離婚経験者や不倫経験者となっているのに驚く。登場人物たちが唐突にクリスマスの思い出を語る場面が挿入されているが、苦いものばかりだ。不倫や離婚によって本人のみならず家族もみんな傷ついている。

では、どうして不倫に走ってしまうのか。幕切れ近くで歌われる「私たちは恋のしもべ」という歌詞にその答えが見つかった。どんなに不幸な事態が待ち受けていても、恋に囚われてしまえば逃れるすべはないということか。

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2005/06/08

ロング・エンゲージメント

製作年:2004年
製作国:フランス
監 督:ジャン=ピエール・ジュネ
原作:セバスチャン・ジャプリゾ「長い日曜日」
出演:オドレイ・トトゥ ギャスパー・ウリエル
   ジャン=ピエール・ベッケル
   ドミニク・ベテンフェルド

第一次大戦下のフランス。兵役を逃れるため自らの手を撃った罪で死刑を宣告された5人のフランス兵は、「ビンゴ・クレピュスキュル」と呼ばれる前線の塹壕に連行され中間地点に置き去りにされる。終戦後、5人の中の1人、マネクの婚約者だったマチルドは私立探偵のピールを雇い彼の捜索を続けるが…。第30回セザール賞でマリオン・コティヤールの助演女優賞ほか5部門を受賞。

まずジュネ監督の魔術的な映像世界に魅了される。縦横無尽に動くカメラワークに引き込まれ、寒々しい戦場シーンと暖かな村の風景の対比が誠に絶妙でその巧さに唸る。

マチルダ(オドレイ・トトゥ)の恋人探しがメインプロットとなっているが、その過程で他の4人の死刑囚の生涯が浮かび上がってくる展開にも感銘する。そのエピソードの中でジョディ・ファスターが出てきたのには驚きました。

こちらの記憶力の問題かと思っておりましたが、いろんな方の感想に目を通してみると、役名と顔がなかなか一致しなくて混乱されている方がたくさんおられて、ちょっと安心しました。このミステリー展開の細部を楽しめるには2度、3度と観ることが必要なようです。

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2005/06/07

ホストタウン エイブル2

「ホストタウン エイブル2」★★★★(BS)
2004年日本 監督:小栗謙一 (ドキュメンタリー作品)
出演:エイミー・パーセル リンジー・パーセル
   パディ・パーセル ジョージー・パーセル

2003年、アイルランドのダブリンで知的障害者のためのスペシャルオリンピックス夏季世界大会が開催される。近郊の町、ニューブリッジが日本選手団の滞在するホストタウンとなった。そこではダウン症であっても普通学校に通い、自立を目指している18歳のエイミーが暮らしていたが…。

幾多の障害や絶望から粘り強く生き抜いてきたエイミーとその家族のドラマに深く心を揺さぶられる。

エイミーの妹、リンジーも脳性麻痺を患い、歩行が困難である。みんなの歩く速度についていけなかった彼女が、アイリッシュダンスに取り組んでいる場面が印象深い。

普通ならスペシャルオリンピックスに参加する日本選手を中心にするだろうに、受け入れる側の視点で作品を作られているのが秀逸なアイデアであった。

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2005/06/06

エイブル

「エイブル」★★★★★(BS)
2001年日本 監督:小栗謙一 (ドキュメンタリー作品)
出演:渡辺元 高橋淳 キャサリン・ルビ マーク・ルビ

アリゾナに住むキャサリンとマーク夫妻は、日本から知的障害のある少年、ゲンとジュンをホストファミリーとして受け入れた。ゲンはダウンシンドローム、ジュンは自閉症であった。夫妻は障害に関してあまり知識も経験もなく、少年2人にとっても受け入れる2人にとっても冒険であったが…。

現代は情報化社会となり、一つの仕事に要する処理時間が年々短縮されていく。知的障害者は一つの仕事を決してできないわけでない。ただその処理に時間がかかるだけである。スピードが要求されるこの時代に知的障害者はますます暮らし難くなるであろう。

本作品は知的障害者でも、チャンスがあれば何でも学ぶことができることを描いた作品である。ホストとなったキャサリンとマークの夫婦の優しい時間の中で、二人は可能性をどんどん伸ばしていく。

気球に乗ったエンドクレジットは二人の飛躍を感じさせ、余韻の残る幕切れとなった。

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2005/06/05

スーパーサイズ・ミー

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:モーガン・スパーロック

ある日、モーガンは「自分たちが肥満症になってしまったのはそれを注意しなかったファーストフード店のせい」とする訴訟に注目する。ハンバーガーと肥満の因果関係はいかに? 彼は1カ月間、「1日3食、すべてマクドナルドにあるものだけ食べる」という実験を実行するが…。

どんな食物でも偏食すれば、体に良くない事は誰でも知っています。しかし、ファーストフードを食べ続けることがどんなに危険な行為であるか改めて実感します。実験5日目で拒否反応を示していたのに、それでも食べつづけていくうちに、いつしか体がマクドナルドの食品に順応してしまうところがなんとも怖かったです。

興味深いのはごく短い期間の間にアメリカ社会で肥満している人の割り合いが急激に上昇しているということ。どう見てもどこかに問題や歪みがあり、手軽なファーストフードに依存してしまった社会の悪影響を大いに考えさせられます。

データの使い方や業界大手の会社を相手に戦いを挑む姿勢など、「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002)の影響も感じられました。

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2005/06/03

息子の部屋

「息子の部屋」★★★★★(BS)
2001年イタリア 監督:ナンニ・モレッティ
出演:ナンニ・モレッティ ラウラ・モランテ
   ジャスミン・トリンカ ジュゼッペ・サンフェリーチェ

精神分析医のジョバンニは、息子のアンドレアを海の事故で突然失う。残された彼は、妻、娘とともに悲しみと後悔にさいなまれる。悲劇に耐えかねた家族はバラバラになりかけていた。そんなある時、息子に、夏休みのキャンプで知り合ったガールフレンドがいたことがわかるが…。

第54回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。

日常生活が切り取られ、断片が綴られる構成となっている。その映らなかった余白の中に、息子を事故で亡くした喪失感、後悔、哀しみなどが込められている。そして、その感情が痛いくらいに伝わってくる。

ラストシーンも非常に印象深い。バラバラになっても同じ海の方向を見ている3人。そこには本来あるべき家族の姿があった。

ニコラ・ピオヴァーニの音楽が優しく響く。

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2005/06/02

ベアーズ・キス

製作年:2002年
製作国:カナダ
監 督:セルゲイ・ボドロフ

14歳のローラは、サーカス団で暮らすブランコ乗りの女の子。ある日、ロシアの動物市場で一匹の小熊を買い取った。ミーシャと名づけられた小熊は、ローラとともに旅の生活を続け、次第に芸も覚えていく。ある夜、ローラがミーシャの様子を見にいくと、そこには1人の青年が立っていた…。

どこかもう一つ物語に入り込めないのは、何故、熊が人間に姿を変えるのか、その経緯がはっきりしていないからである。他の人には分らず、少女だけにしか見えない設定ならいいのだが、どうも他に人にも見えているようだ。

であるなら、人間になるにはどういった条件のときなのか。夜の内だけとかローラが救いを求めたときだけとかいうような設定の説明がもう少し欲しい。人を殺したらもう二度と人にはならないという説明があっただけに、そこが気になった。

幻想的なサーカスの美しさを捕らえた映像はなかなか秀逸であった。

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2005/06/01

春夏秋冬そして春

製作年:2003年
製作国:韓国/ドイツ 
監 督:キム・ギドク

深い山あいの湖に浮かぶ寺。春-幼子はいたずら心から小さな動物の命を殺めてしまう。夏-青年は養生のためにやって来た同年代の女性に惹かれる。秋-寺を出た青年は自分を裏切った妻を殺害し寺に戻ってくる。冬-壮年となった男の前に、赤子を背負った女が現れる。そして再び春に…。

作品の中に何度も登場する蛇。絶え間なく続いていく人間の業を象徴していると私は解釈しました。

タイトルからして輪廻転生をイメージさせ、湖水に浮かぶ寺というビジュアルが東洋的思想へと誘います。そして鑑賞後、深遠とした余韻が残ります。

傑作と名高い「魚と寝る女」(2000)と「悪い男」(2001)を未だ観る機会がなく、本作品が最初の出会いとなったキム・ギドク監督。作家性を大いに感じさせ、今後の活躍に注目していきたい監督の一人です。

追記)その後、「魚と寝る女」も「悪い男」も観ることができました。やはり凄い作品でした。

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