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2005/04/28

六月の蛇

製作年:2002年
製作国:日本
監 督:塚本晋也

何日も雨が降り続く六月の東京。りん子は心と健康の電話相談室に勤めている。ある日、彼女は自殺しようとする男の相談電話を受け取った。りん子はその相手を励まし、なんとか自殺を食い止めることができた。だが、それをきっかけにその男からスト-カー行為を受けることになるが…。
第59回ベネチア国際映画祭のコントロコレンテ部門で審査員特別大賞を受賞。

本作品を課題とした合評会に出席する機会がありました。この映画を観る前に、結末に至るまでのドラマ展開や演出のキーポイントを知っておりました。それでも飽きることなく観ることが出来たのは、ブルーグレイのモノクロ映像に圧倒的な美しさを感じたからでしょう。

塚本監督は暴力的な衝動により、自己の秘められた本能を覚醒させていくドラマをテーマに映画を撮り続けている。本作品はロマンポルノのような濃密な官能世界に留まらない。現実と非現実が折り重なったその表現は、そのテーマをより深く重いものへと進化させている。塚本ワールドのひとつの到達点だと感じさせる完成度。

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 “人間は死を意識することによって、初めて生を確認できる”をテーマに、ストーカーの男によって覚醒させられる夫婦のありようを描いている。ストーカーという行為は、都市が内包するひとつの闇ではあるが、闇によってしか覚醒させることができないほど病んでしまった現代社会の状況を象徴している。  このストーカーの職業のカメラマン。人とはレンズ越しにふれあうだけで、暗室に閉じこもって一人で作業をすることが多�... [続きを読む]

受信: 2005/04/29 00:36

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受信: 2005/05/16 17:13

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受信: 2005/05/17 17:58

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第47回『六月の蛇』見所:「美しい青みがかったモノクロ映像。都会の中で繰り広げられる男女の愛と倒錯の世界。」  今回紹介する映画は第59回ベネツィア国際映画祭審 [続きを読む]

受信: 2006/02/22 15:13

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