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2005年4月

2005/04/30

UNLOVED

「UNLOVED」★★★★
2002年日本 監督:万田邦敏
出演:森口瑤子 仲村トオル 松岡俊介 諏訪太朗

光子は市役所に勤める30歳過ぎの平凡な女性。職場ではほとんど目立たず地味に生きていて、不満のない日々を送っていた。ある日、仕事のためにたびたび市役所を訪れていた若手経営者の勝野にお茶に誘われる。勝野は光子に急速に惹かれていくが、光子は生活レベルの違う勝野に戸惑いを抱く…。

2002年みちのく国際ミステリー映画祭で上映された時、ゲストとして来場された万田監督の話を聞く機会がありました。監督の奥様で共同脚本を手掛けられた万田珠美は、「プリティウーマン」(1990年)などの従来の女性の描き方に強い不満を持っていて、その意向が強く反映された作品になっているとの事。こういう話がじかに聞けるから映画祭は楽しい。

「自分らしく生きる」というヒロイン光子(森口瑤子)の同じ言葉が、前半と後半では全く違って響いてくるのが興味深かったです。天候の描写も奥行きある表現となっている。

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2005/04/28

六月の蛇

製作年:2002年
製作国:日本
監 督:塚本晋也

何日も雨が降り続く六月の東京。りん子は心と健康の電話相談室に勤めている。ある日、彼女は自殺しようとする男の相談電話を受け取った。りん子はその相手を励まし、なんとか自殺を食い止めることができた。だが、それをきっかけにその男からスト-カー行為を受けることになるが…。
第59回ベネチア国際映画祭のコントロコレンテ部門で審査員特別大賞を受賞。

本作品を課題とした合評会に出席する機会がありました。この映画を観る前に、結末に至るまでのドラマ展開や演出のキーポイントを知っておりました。それでも飽きることなく観ることが出来たのは、ブルーグレイのモノクロ映像に圧倒的な美しさを感じたからでしょう。

塚本監督は暴力的な衝動により、自己の秘められた本能を覚醒させていくドラマをテーマに映画を撮り続けている。本作品はロマンポルノのような濃密な官能世界に留まらない。現実と非現実が折り重なったその表現は、そのテーマをより深く重いものへと進化させている。塚本ワールドのひとつの到達点だと感じさせる完成度。

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2005/04/26

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

東ベルリンで男の子として生まれたヘドウィグは、恋した米兵と結婚し自由の国アメリカに渡るため、性転換手術を受ける。だが手術は失敗し、彼の股間には“怒りの1インチ(アングリーインチ)”が残ってしまう。晴れて渡米はするが、肝心の夫はヘドウィグの元を去っていってしまう…。

監督・脚本・主演を務めたジョン・キャメロン・ミッチェルが圧倒的な存在感。グラムロック風の音楽が強烈でした。特にプラトンの「饗宴」をヒントに作られたというテーマ曲の「愛の起源」が印象深いです。

しかし、ヘドウィグが歌うところが、ふつうのおじさんやおばさんが食事するレストランチェーンであり、あまりに楽曲とアンマッチ過ぎる。そこにユーモアを感じられず観ていて居心地が悪かった。

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2005/04/25

トーク・トゥ・ハー

製作年:2002年
製作国:スペイン
監 督:ペドロ・アルモドバル
出演:レオノール・ワトリング ハビエル・カマラ
   ダリオ・グランディネッティ ロサリオ・フローレス

病室のベッドで昏睡状態にあるアリシアは看護士のベニグノによって4年間世話されてきた。バレエ・スタジオで踊るアリシアの美しさに魅せられたベニグノは、彼女が交通事故に会って以来、自ら志願して献身的な看護をしたのだった。だが、ベニグノの盲信的な愛は思わぬ事態に発展してしまうが…。
第75回アカデミー賞でペドロ・アルモドバルが脚本賞を受賞。

先の展開が全く読めないドラマでありました。あの始まりから、この結末は予想できなかったです。さすがにアカデミー賞脚本賞のことだけはあります。とても爽やかなエンディングでありました。

アルモドバル監督が描く愛のドラマは、不思議な運命へ導かれていく者たちを活写している。スペインの情緒が巧みに盛り込まれ、愛と孤独を鮮烈に映像化しております。

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2005/04/22

リーグ・オブ・レジェンド 時空を越えた戦い

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:スティーヴン・ノリントン

1899年。“ファントム”率いる謎の軍団が英国銀行をはじめ世界各地を襲撃していた。世界大戦勃発の危機を感じた英国政府は、冒険家アラン・クォーターメインに対抗チームの招集を依頼する。かくしてネモ船長、ジキル&ハイド、ヴァンパイアのミナ・ハーカーらが集まり、超人紳士同盟が結成されるが…

オールスター戦のように有名なキャラクターがたくさん登場してくるのは楽しい。だが、元々の小説や映画で描かれたキャラクター達のエピソードが全く本作品につながっていないのが寂しい。

また、超人紳士同盟の中で一体誰が裏切り者なのか、それを追い駆けるミステリー展開を、もう少し丁寧に描いて欲しかった。物語にメリハリがなく散漫な感じで終ってしまった。

何より不満なのは、“ファントム”の正体があれであるのに、あの方を登場させないところ。これではバランスがとれないでしょう。

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2005/04/21

デイ・アフター・トゥモロー

製作年:2004年
製作国:アメリカ
監 督:ローランド・エメリッヒ

二酸化炭素の大量輩出は止まるところを知らず、それに伴う温暖化は深刻さを増していた。南極の氷河を研究する古代気象学者のジャックは、自らの調査結果から地球の危機を予見、科学者を集め緊急会合を開き警告する。やがてそれは現実となり、異常気象が世界各地に大災害をもたらすが…。

冒頭で、副大統領が語る経済優先の話は、京都議定書を承認しないアメリカ政府の姿勢そのものだ。本作品はフィクションであり誇張されているだろうが、様々な研究成果を基に、地球温暖化により近い将来引き起こされる地球崩壊の様を描いている。温暖化が進むと氷河期に進んでいくところが逆説的で興味深い。

後半の息子救助のエピソードに批判を集めているようだが、そういった家族ドラマに隠れてアメリカ社会に警鐘を鳴らす内容となっている。最後の大統領演説がポイントであろう。

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2005/04/20

エイリアン VS.プレデター

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:ポール・W・S・アンダーソン

2004年、巨大企業ウェイランド社に謎の熱源が南極大陸の地下深くで発生しているという衛星データが送られてくる。チャールズは現地調査を決断。各分野の専門家を招集し、南極に向うが…。

2大モンスター大激突という基本プロットについて特にコメントはないが、細部のこだわりが嬉しい。

「エイリアン」シリーズで何故、ウェイランド社があそこまでエイリアンの捕獲にこだわったのかが繋がるような話である。また「エイリアン 2」(1986)に登場した「ビショップ」のオリジナルになった人物の登場、しかもナイフを使った手遊びまで出てきて、楽しい作りになっている。

しかし、「どちらが勝っても…人類に未来はない」という宣伝コピーは、内容と大きくかけ離れて問題だ。

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2005/04/19

L.A.コンフィデンシャル

「L.A.コンフィデンシャル」★★★★★(BS)
1997年アメリカ 監督:カーティス・ハンソン
原作:ジェイムズ・エルロイ
出演:ケヴィン・スペイシー ラッセル・クロウ
   ガイ・ピアース キム・ベイシンガー

暗黒街のボスが逮捕され縄張り争いが激化する50年代のロス。街のコーヒーショップで元刑事を含む6人の男女が惨殺される事件が発生した。殺された刑事の相棒だったバドが捜査を開始し、被害者の女性と一緒にいたリンに接近する。彼女はハリウッドスターに似せた女を集めた高級娼婦組織の一員であったが…。第70回アカデミー賞でキム・ベイシンガーが助演女優賞、また脚色賞も受賞。

本作品を観るのは、これで3回目。原作を読み終えてから観てみると、絶妙な脚色に感嘆する。原作のエッセンスを残しながら、きちんと本筋の通ったドラマに仕上がっている。

原作にはなかった“ロロ・トマシ”のエピソードが絶妙に効いている。登場する3人の刑事のキャラクター造形も見事。三者三様の思いが、すれ違いながらもやがてひとつにまとまっていく展開も秀逸だった。

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2005/04/18

ニューオーリンズ・トライアル

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:ゲイリー・フレダー

ニューオーリンズの証券会社で16人を死傷させる銃乱射事件が発生。犯人は自殺した。この事件で夫を失ったセレステはベテラン弁護士ローアを雇って、犯人の使用した銃の製造メーカー、ヴィックスバーグ社に民事訴訟を起こす。会社は存亡に関わるこの裁判に陪審コンサルタント、フィッチを雇い入れるが…。

前半はぞくぞくするほど展開に目を奪われ、画面に引き込まれる。まず陪審コンサルタントという仕事があるのかという驚き。候補者の思想・心理等をスパイのように調べ上げ、自分たちの陣営に有利な陪審員を選び出す過程が興味深く描写されている。いかにもアメリカ社会だと思わせる。

そして謎の男ニック(ジョン・キューザック)の人物描写も秀逸。何気ないところで、只者でないことを感じさせる。

だが、後半に入って直接的な暴力場面が多くなり、少しトーンダウン。この種のドラマは知的攻防でずっと引っ張って欲しかった。そしてニックが陪審員を操るディディールをもっと見たかった。

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2005/04/17

ネバーランド

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:マーク・フォースター
出演:ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット
   ジュリー・クリスティ ラダ・ミッチェル

夢は信じ続ければいつか叶う。それは間違いない人生の真理。だが、信じ続ければ、何でも実現できるものではない。例えば、いくら死にたくないと本気で願い続けていても、死ぬことは逃れられない。そうした信じることの大切さとその限界を、本作は暖かなタッチで描いている。

心に残る場面は、ジェームズ(ジョニー・デップ)がシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)のために開いた「ピーターパン」の劇で、彼らにずっと冷たく当たっていたシルヴィアの母(ジュリー・クリスティ)が一番夢中になって観ていたこと。彼女も内なる「ネバーランド」を探していたのでしょう。

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2005/04/16

スクール・オブ・ロック

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:リチャード・リンクレイター

ロックギタリストのデューイは、破天荒な演奏方法がアダとなり、バンドをクビになってしまう。一方、私生活でも家賃の滞納が原因で居候していた親友ネッドのアパートを追い出されようとしていた。そんな時、お金欲しさから代用教員ネッドになりすまし、名門私立小学校の臨時教師の職に就いてしまうが…。

後半の展開にご都合主義的な安易さがあるのが残念。現実はもっとシビアであろう。それでも、共感深く見られるのは、社会人として生活することの退屈さがそれとなく描かれているからでしょう。

そして、権威への反抗を象徴するロックが、本作品のように学校の授業の中で語られ、歴史の1ページになっていくのかという思いもある。

自分の望む人生を過ごせない男が嫌々ながら子供達の面倒を見ることになる。子供達との交流を通じて自分の人生を再生していくドラマは「がんばれ!ベアーズ」(1976)などこれまでにも延々と製作されている。

本作品もその亜流に位置付けられるが、異色なのは主人公のキャラクター造型。ロック狂のジャック・ブラックが凄まじいほどの存在感を見せる。後半になると段々先生らしい顔になっていくところもポイント。

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2005/04/15

テープ

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:リチャード・リンクレイター

ミシガン州ランシングに建つモーテルの一室。オークランドでドラッグを売り捌くヴィンセントは久々に帰郷すると高校時代の友人ジョンを呼び出した。映画監督になったジョンは明日行われる映画祭に新作を出品するため故郷に戻っていた。ヴィンセントは、ある出来事についてジョンを問い詰め始めるが…。

いかにも舞台戯曲らしく、限定された空間でしかも三人という限られた登場人物で繰り広げられる心理劇である。会話の流れによって三人の力関係が変わっていく展開が面白い。

イーサン・ホークとロバート・ショーン・レナードの二人が同級生役というと、「いまを生きる」(1989)の子供達がこんな風に大人になったのかと連想させて、少しおかしかった。

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2005/04/14

フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:エロール・モリス

元アメリカ国防長官のロバート・マクナマラは戦争の世紀と言われた20世紀に政財界の要職に君臨した。80歳を越えた今、かつての経験から自らが導き出した結論を21世紀への祈りを込め語ってゆく。
2003年第76回アカデミー賞でドキュメンタリー長編賞を受賞。

こういうドキュメンタリーを観て、初めて知ることがある。第二次世界大戦では経営の理論を応用し、攻撃の効率向上を図れたこと。その延長線に東京大空襲や原爆があったこと。歴史的事件の当事者の証言として、記録に残すことはそれなりに価値があるし興味深い点もある。

だが、釈然としないものが残るのは何故だろう。今のアメリカに、この「11の教訓」が生かされていないこと。そして、マクナマラが当事者であるにも関わらず、まるで他人事のように責任ある発言に聞こえない点にあるのではないか。

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2005/04/13

トロイのヘレン

製作年:1955年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・ワイズ

紀元前1100年。繁栄を誇る都市国家トロイは、ギリシャ諸国の侵略の対象だった。トロイのパリス王子は諸国との和平を主張し、平和使節としてギリシャへ向かう途中、嵐にあって遭難する。スパルタ海岸に漂着した彼は、女神のような美しい女性に救われる。彼女はスパルタ王メネラウスの妃、ヘレンであった…。

「トロイ」(2004)を先に観ているので、登場人物達の名前や人間関係等が前情報としてしっかりと頭にインプットされている。そのため、最初からドラマのディティールに目を配る余裕があった。

幕切れが主人公二人のダイアローグで終るところなど、クラシックな演出で今観ると逆に新鮮な感じを受ける。

トロイの城壁へスパルタ軍が攻め込む大迫力シーンは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを想起させました。

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2005/04/12

サウンド・オブ・ミュージック

製作年:1965年
製作国:アメリカ
監 督:ロバート・ワイズ

修道女見習いのマリアは、規律を守ることが出来ず問題児であった。そこで修道院長はマリアをトラップ大佐の家に送り、7人の子供たちの家庭教師にする。大佐は亡くなった妻を思い出させることをすべて禁じ厳格に子供たちと接していた。マリアは大佐の留守中に子供たちを山に連れ出し歌う喜びを教えるが…。
第38回アカデミー賞で作品賞、監督賞、ミュージカル映画音楽賞、編集賞、録音賞を受賞。

堅く閉ざされたトラップ大佐(クリストファー・プラマー)の心を開いていったのは子供たちの歌声。マリア(ジュリー・アンドリュース)が大佐への恋心を気付かせたのは二人で踊ったダンス。人の心の微妙な変化を歌や踊りを使って見せるところが絶妙にうまい。登場人物たちが躍動してみえる。

そして、二人の結婚式の鐘の音からナチスの行進に移行するカメラワークも秀逸。一瞬で祝福の明るさから戦争の暗い影へ変わっていく。有名な楽曲に頼ることなく陰影深いドラマに仕上がっているのは、こうした演出の冴えによるものだろう。

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2005/04/11

アレキサンダー

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:オリバー・ストーン

紀元前356年、急速に力をつけてきたマケドニア王フィリッポスとその妻オリンピアスの間に息子アレキサンダーが誕生する。だが、二人は激しく対立するようになる。アレキサンダーは両親の確執に心痛める。紀元前336年、フィリッポスは何者かによって暗殺され、彼が20歳にして王位を継ぐこととなるが…。

何故、アレキサンダーは部下の反対を押し切り、東征を続けていたのか? そうした疑問をうまく掻き立てる構成になっている。

強烈なトラウマとなるような父と母への愛憎。その感情に引き裂かれ、どんな偉業にも満ち足りることはなかった。自分の中で勇気を確かめるため、戦いを止めることができなかったのではないか。

その生涯の苦しさが戦いの中で浮き彫りにされる。

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2005/04/10

刑事ジョン・ブック 目撃者

製作年:1985年
製作国:アメリカ
監 督:ピーター・ウェア

ペンシルヴァニア州に文明社会から離れ厳格な規律に従って暮らしているアーミッシュの村があった。そこで暮らす未亡人のレイチェルは一人息子のサミュエルと一緒に、妹の住むボルチモアに向う。その途中のフィラデルフィア駅で、サミュエルは殺人事件を目撃してしまう。彼らはジョン・ブック警部に保護されるが…。
1985年第58回アカデミー賞で脚本賞と編集賞を受賞。

レイチェル(ケリー・マクギリス)ら親子が馬車で駅に向っていく場面。馬車をアップで捕らえながら、牧歌的な風景から交通渋滞を引き起こして場面へ鮮やかに転換していく。アーミッシュという共同体が一歩外へ出ると、社会に適合されていないことを一瞬で伝える。その描写力に唸る。

ジョン(ハリソン・フォード)が事件に巻き込まれるくだりにやや乱暴なものを感じるが、情感豊かで静謐なアーミッシュの生活描写が心を落ち着かせる。

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2005/04/09

ブレードランナー

製作年:1982年
製作国:アメリカ/香港
監 督:リドリー・スコット

2019年、植民惑星から4体の人造人間=レプリカントが脱走した。彼らの捕獲を依頼された“ブレードランナー”デッカードは、地球に潜入したレプリカントたちを追うが…。

何度観ても、近未来の退廃感に満ちた描写が素晴らしい。酸性雨が降り続く本編から晴れ渡るラストシーンへの対比が鮮やかです。

レプリカントのボスを演じたルドガー・ハウアーが圧倒的な存在感。決まりきった悪役でなく、哀しみに満ちたキャラクターとなっており、ずっしりと心に残り続ける。

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2005/04/08

オペラ座の怪人

製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:ジョエル・シューマッカー

1919年のパリ。今や廃墟と化したオペラ座で、かつて栄華を極めた品々がオークションにかけられていた。そして、謎の惨劇に関わったシャンデリアが紹介された時、1870年代へと舞い戻る。若きコーラスガール、クリスティーヌは代役として新作オペラの主演に大抜擢され、喝采を浴びるが…。

ミュージカル版を観ているかいないかで本作の受け止め方は違ってくることでしょう。私は観ていないので、アンドリュー・ロイド=ウェバーの荘厳な音楽を素直に堪能いたしました。

シャンデリアから布が取り払われた瞬間に当時のオペラ座に戻っていくシーン。映画ならではの魔術的効果に息を呑みます。

唯一気になったのはファントムの素顔を画面に映してしまったこと。ここは最後まで隠しておいた方がずっと良かった。そうすれば想像力を掻き立てる余地を残し、もっと深みのある表現になったと思います。

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2005/04/07

ルーキー

「ルーキー」(BS)★★
1990年アメリカ 監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド チャーリー・シーン
    ラウル・ジュリア ソニア・ブラガ

幼い頃、弟をビルの屋上から転落死させてしまった罪の意識に悩んでいるロス市警のデイヴィッド。彼は私服刑事を希望し、自動車盗難課を志願する。そこでコンビを組まされたのは荒っぽい捜査で有名なベテラン刑事、ニックだった。ニックは高級車ばかりを狙う窃盗組織の壊滅に燃えていたが…。

自分としてはあまりこういう表現を使いたくないが、あまりにもチャーリー・シーンがミスキャスト。彼の持ち味で、こうしたトラウマを抱える刑事役というのは、あまりにも不自然である。深刻さを増すほどに、居心地の悪さも比例していく。そして、ふっきれたように暴力刑事に変わっていくのだが、酒場を放火するなど捜査方法は勘違いも甚だしい。

2005年2度目のアカデミー賞監督も取り、円熟味をさらに増しているC・イーストウッド監督。だが、本作品ではドラマの組み立てにバランスを欠いており、残念な出来栄えだった。

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2005/04/06

ティアーズ・オブ・ザ・サン

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:アントワーン・フークア

ナイジェリアでクーデターが発生。反乱軍によって大統領一家が殺され深刻な内戦状態に突入する。米海軍特殊部隊のウォーターズ大尉はジャングルの奥深くで難民の治療に当たっている女医リーナの救助に向う。彼女は難民を見捨てて自分だけ助かることはできないと、その場を離れることを拒否するのだが…。

何故、ウォーターズ大尉(ブルース・ウィルス)は難民を救出するために引き返したのか? 中盤で大尉がつぶやく。「俺はしばらく、善い事、正しい事をしてこなかった」。クライマックスで難民達から大尉に送られた言葉。「神はあなたのしたことを決して忘れはしないでしょう」。

これらにその疑問を紐解くヒントがありそうです。大尉の無表情の中で何が覚醒されたのか。そこに本作品のテーマが浮かび上がってきます。

目の動きを的確に捉えた映像も秀逸であった。

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2005/04/05

オーシャンズ 12

製作年:2004年
製作国:アメリカ
監 督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー ブラッド・ピット
    マット・デイモン キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

ラスヴェガスのカジノから1億6千万ドルが盗まれて3年。カジノのオーナー、ベネディクトは事件がオーシャン一味の仕業によるものと知る。ベネディクトは彼らの居所を突き止め、2週間以内に利子を付けて返済するよう脅迫する。追い詰められたオーシャンたちは再び集結するが…。

本作はキャラクター重視の作りであり、盗みのテクニックなど細部の描写はかなり大味になっている。犯罪映画を期待してみると大いに失望するでしょう。私は遊び心たっぷりの展開を大いに楽しめました。

ハリウッドスターたちの豪華な顔ぶれ。テンポのいい台詞。悪ふざけ寸前のエピソード。「面白かった」の一語で終る作品です。

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2005/04/04

刑事ジョー ママにお手あげ

製作年:1992年
製作国:アメリカ
監 督:ロジャー・スポティスウッド

ロサンゼルス市警巡査部長の刑事ジョーは上司の警部補グウェンという恋人はいるが、気楽な独身生活を送っていた。そこへ、ニューアークからママが訪ねてきた。ママはジョーを今でも子供のように扱いたがるのだが…。
1993年第13回ラジー賞でワースト主演男優賞、ワースト助演女優賞を受賞。

シルヴェスター・スタローンがコメディーに挑戦していた頃の作品。残念ながら成功していないが、芸風の幅を広げようとしていた意欲は記憶しておきたい。

いかにママ(エステル・ゲティ)が田舎から都会に出てきたにせよ、拳銃を食器のように洗ったり、小型銃器を密売人から購入したりとあまりに常識外の行動で、笑うに笑えない。

彼女がダーティー・ハリーやターミネーターを真似た決め台詞を吐くのは、ちょっとだけ可笑しかった。

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2005/04/03

サンダーバード

「サンダーバード」★★★(DVD)
2004年アメリカ 監督:ジョナサン・フレークス
出演:ビル・パクストン アンソニー・エドワーズ
ソフィア・マイルズ ベン・キングズレー

億万長者で元宇宙飛行士のジェフ・トレイシーは、謎の無人島を拠点に4人の息子とともに国際救助隊サンダーバードを組織し、世界中の災害救助活動に当たっていた。5男で14歳のアランは年少のため隊への加入を認められなかった。ある日、サンダーバードに怨みを持つフッドが基地を襲撃するが…。

この実写版では国際救助隊の活躍というよりも、番外編のような子供達を中心にするドラマ展開に批判が多く集中しているようである。

まぁ、最低限それを認めたとしても、私が納得できないのはクライマックスで超能力者同士の戦いにしてしまった事。これならサンダーバードである必然性はない。オリジナルメカの活躍をもっと見たかった。

オープニングタイトルのサイケ調なアニメーションが良かった。

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2005/04/02

砂と霧の家

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:ヴァディム・パールマン

父の形見である家に住むキャシーは、夫に去られ無気力な日々を送っていた。ある日、税金未納を理由にその家を強制退去させられてしまう。実は行政の手違いであったが、既に競売にかけられ、家を失ってしまうが…。

差し押さえ物件の競売に寄って引き起こされる悲劇というと、宮部みゆきの小説「理由」を思い出します。格安で入手できるというのは、安い分だけのリスクがあるということでしょうか。

本作がひたすら哀しいのは、特別に悪い人がいないというのに、登場人物全員がどんどん不幸になっていくところ。個々の思いに間違いはない。だが、その思いを実現させようとする行為そのものが結果として間違いであったのだ。

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2005/04/01

エリザベス

「エリザベス」★★★★(DVD)
1998年アメリカ 監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット ジョセフ・ファインズ
   ジェフリー・ラッシュ クリストファー・エクルトン

16世紀のイングランド。カトリックとプロテスタントの争いに巻き込まれ、エリザベスはロンドン塔に幽閉されてしまう。しかし、腹違いの姉メアリー女王が崩御し、25歳の若さでイングランド女王に即位するが…。

第71回アカデミー賞でジェニー・シャーコアがメイクアップ賞を受賞。

まさに「ゴッドファーザー」(1972)を彷彿させる大粛清。無垢なる心を封じ、生き残るため対抗勢力を一度に抹殺するエリザベス(C・ブランシェット)。荘厳な音楽と共にマイケル・コルレオーネの姿と重なります。

ただ難を言えば、孤立無援のエリザベスをウォルシンガム(J・ラッシュ)がどうしてここまで影から支えるようになったのか。同じプロテスタントとして迫害を受けた過去があるからなのだろうが、その心情が、もうひとつ掴みきれなかった。

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