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2004年12月

2004/12/30

眠る男

「眠る男」★★★★★(BS)
1996年日本 監督:小栗康平
出演:役所広司 アン・ソンギ 
    クリスティン・ハキム 田村高廣

温泉の湧く山間の町・一筋町。その農家に、山から転落して以来、意識不明のまま眠りつづける男・拓次がいる。両親や同級生の上村は言葉を返すことのない拓次へ語りかけるが…。1997年第47回ベルリン国際映画祭で国際芸術映画連盟賞を受賞。

山々や自然を敬う昔ながらの生活に都市化の波が押し寄せてくる。精霊が宿る自然を無くしてしまうのではない
か? ”眠る男”は、そういう村の象徴であろう。

絵画のように落ちついた構図が美しい。この映像を見ているだけで、静かで素朴な心が呼び起こされる。

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2004/12/23

笑の大学

製作年:2004年
製作国:日本
監 督:星護

昭和15年。国民の戦意高揚の妨げになるとし、様々な娯楽が取締りの対象となり、演劇も台本の段階で厳しい検閲を受けていた。新任の検閲官・向坂は劇団笑の大学の座付作家・椿に笑いを排除しようと無理難題を突きつけるが…。

一つの価値観に縛られる者と、どんな事態になっても柔軟に対応していく者の戦い。権力をバックに高圧的な態度をとられようとも、ソフトに受け流し、しかしそれでいて自分の信念は変えない作家。

そんな椿(稲垣吾郎)は三谷幸喜にとって理想の作家像なのだろう。向坂(役所広司)がどんどん笑いの世界にはまっていく過程が楽しい。

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2004/12/21

がんばれグムスン

「がんばれグムスン」(ピカデリー)★★★★
2002年韓国 監督:ヒョン・ナムソブ 
出演:ぺ・ドゥナ キム・テウ チュ・ヒョン
「第8回みちのく国際ミステリー映画祭/韓国映画エンターテイメント特集」より。

元バレー選手のグムスンは肩の故障で引退し、結婚。一人娘を出産する。慣れない子育てに最近ノイローゼ気味。夫の初出勤の朝も寝過ごしてしまう。その夜、歓迎会が開かれ、飲めない酒を飲まされて、夫は悪酔いしてしまうが…。

SABU監督や矢口史靖監督の作品のように、ヒロインの状況がドンドン悪化していく過程が楽しい。ただ、ヤクザの抗争のくだりが、もっとグムスン(ぺ・ドゥナ)の奮闘に絡んでくると、より面白くなったことだろう。

家事や子育てがうまく行かないグムスン。その苛立ちはスポーツ選手生命がいきなり絶たれてしまった事実を
受け入れならないこと事から来るのだろう。

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2004/12/18

ジャンプ

「ジャンプ」★★★★(中劇1)
2003年日本 監督:竹下昌男 
出演:原田泰造 牧瀬里穂 笛木優子 伊武雅刀

出張を控え、三谷は空港に近いみはるの部屋に泊まることに。三谷はカクテルを飲んでしまい、悪酔いしてしまう。みはるは三谷を部屋へ届け、朝食のリンゴを買いに出かける。しかし、彼女は翌朝になっても戻ってこなかった…。第8回みちのく国際ミステリー映画祭で新人監督奨励賞を受賞。

幕開きから幕切れまで、劇中に何度もりんごが登場してくる。それは人と人とを結びつける絆の象徴であると感じました。

人生の転機はどこで訪れるか分らない。思いがけないところで、それに出会ってしまう。そして振り返る自分の人生。ジャンプしたいという欲求。

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2004/12/17

スーパースター カム・サヨン

「スーパースター カム・サヨン」(ピカデリー)★★★★
2004年韓国 監督:キム・ジョンヒョン 
出演:イ・ボムス ユン・ジンソ コンユ リュ・スンス

「第8回みちのく国際ミステリー映画祭/韓国映画エンターテイメント特集」より。1980年代、韓国プロ野球が誕生した頃、実在した伝説の敗戦投手カム・サヨンとそのチームの姿を描く。サウスポーのサヨンはチーム「スーパースターズ」の負けが決まると登板する敗戦処理専門投手。しかし、最初で最後かもしれないビックチャンスがめぐってきて…。

野球ボールが劇中に何度も登場してくる。それはサヨンにとっての夢の象徴であり、サヨンと恋人の関係を表していると取りました。

実話をベースとしたスポーツドラマであるが、省略を巧く生かした演出や、母と子の交情などいい場面が多かった。

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2004/12/15

理由(アーネ・グリムシャー監督)

「理由」★★(BS)
1995年アメリカ 監督:アーネ・グリムシャー 
出演:ショーン・コネリー ローレンス・フィッシュバーン
   ケイト・キャプショー ブレア・アンダーウッド

殺人事件の容疑で死刑判決を受け、投獄されてしまった黒人青年ボビー。彼は無実の罪を晴らす為、ハーバード大学法学部教授のポールに手紙を書く。調査に立ち上がったポールは、この事件に隠された謎の存在に気づいていくが…。

ポール(S・コネリー)の素人探偵ぶりにヒヤヒヤする。直線的に物事を判断し、負けん気の強さで突っ走ってしまう。事件を解明するには、思い込みでなく冷静な事実収集が必要な筈だ。劇的に展開していくドラマであるが、作為的すぎる。

発見はS・コネリーの娘役で幼い頃のスカーレット・ヨハンソンが出ていたことだ。

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2004/12/14

逃亡者

「逃亡者」★★★★(DVD)
1993年アメリカ 監督:アンドリュー・デイヴィス 
出演:ハリソン・フォード トミー・リー・ジョーンズ 
   ジュリアン・ムーア ジェローン・クラッベ

シカゴの著名な外科医リチャードは、ある夜緊急手術を終えて帰宅してみると、家から見知らぬ片腕の男が飛び
出して行き、中では妻のヘレンが殺害されていた。キンブルは妻殺しの容疑で逮捕され、死刑判決が下ってしまうが…。1993年第66回アカデミー賞でトミー・リー・ジョーンズが助演男優賞を受賞。

この映画の魅力は、なんと言ってもトミー・リー・ジョーンズにある。テキパキと部下へ的確な指示を出していく姿は、実にプロフェッショナルである。オスカー獲得も納得である。

それから、4番目にクレジットされていたジュリアン・ムーア。昔、観たときにはさほど有名でなく記憶に残っていなかった。どんな役柄なのかと楽しみにしていたが、ゲスト出演のような1場面だけの登場で、ちょっとガッカリ。

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2004/12/13

コラテラル

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製作年:2004年
製作国:アメリカ 
監 督:マイケル・マン 

ロサンゼルスでタクシーの運転手を勤めているマックス。ある晩、乗客から多額のチップと引き換えに一晩の専属ドライバーとなり、今夜中に5箇所を回るよう依頼を受ける。だが、その男の正体はプロの殺し屋であった…。

さすがマイケル・マン。「ヒート」(1995)や「インサイダー」(1999)など大好きな映画を撮った監督だけはある。ただのサスペンス・アクションに終っていない。

アクションの合間に交わされるヴィンセント(トム・クルーズ)とマックス(ジェイミー・フォックス)の会話が秀逸である。二人の間に友情らしき感情が芽生えつつ敵対を続けるという微妙な関係を巧みに描いている。

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2004/12/10

タクシードライバー

「タクシードライバー」★★★★★(DVD)
1976年アメリカ 監督:マーティン・スコセッシ 
出演:ロバート・デ・ニーロ ジョディ・フォスター
   ハーベイ・カーテル シビル・シェパード

ベトナム帰りのトラヴィスは夜の街をタクシーで流しながら、世界の不浄さに苛立ちを感じていた。大統領候補の選挙事務所に勤めるベッツィと親しくなるが、初デートでポルノ映画館に誘ったことで絶交されてしまう。やがて、闇ルートから銃を手に入れるが…。1976年第29回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。

抑えきれない破壊衝動。クシャクシャになった紙幣。何度観ても、見応えのある作品である。観ている内に、どんどんと疑問点がたまる。

トラヴィス(R・デ・ニーロ)がどうしてあんな行為に走るのか?その行動要因は常識では窺えないものがある。不眠症として残る戦争の傷。

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2004/12/07

エクソシスト

「エクソシスト」★★★★(DVD)
1973年アメリカ 監督:ウィリアム・フリードキン 
原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
出演:エレン・バースティン リンダ・ブレア
  ジェイソン・ミラー マックス・フォン・シドー

ワシントンのジョージタウン。ロケのため臨時に借家住まいをしている人気女優クリスは屋根裏で響く異様な物音に気付く。まもなく1人娘のリーガンの身に恐るべき事が起こり始めた。リーガンを乗せたベッドが何者かに揺られているように上下左右に動いているのだ…。1973年第46回アカデミー賞で脚色賞、音響賞を受賞。

何度も観ている作品だが、どうしても疑問として残るポイントがある。なぜ、悪魔バズズがジョージタウンに住んでいるリーガンに憑依したかというところだ。

リーガンは両親の不和で心に闇を抱いていて、<こっくりさん>のような心霊ゲームに興じている。それが悪魔を誘発する要因であるのだろう。

だが、このような心理状態の子供なら世界中にたくさんいることだろう。なぜ、ジョージタウンなのか?

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2004/12/06

エクソシスト ビギニング

「エクソシスト ビギニング」★★★★
(盛岡フォーラム1)2004年アメリカ 
監督:レニー・ハーリン 
出演:ステラン・スカルスガルド
   イザベラ・スコルプコ
   ジェームズ・ダーシー
   アントニー・カメルリング

メリン神父はオランダでナチスの残虐行為を目の当たりにし、神への信仰を失ってしまう。やがてアフリカに流れ着き、古美術収集家の男と出会う。彼の依頼で教会遺跡の発掘を行なっているイギリスの考古学調査隊へ加わることになるが…。

ホラー作品としてもなかなかの出来栄えであるが、それだけでは留まらない。悪魔とは何なのか考えさせられる。

メリン神父と死闘を繰り広げる悪魔バズズは、確かに人の悪意を増殖させ破壊活動を誘発させる災いの神である。だが、悪意の元凶は人間にある。現地住民の反対を無視して遺跡発掘を続ける傲慢さ。戦いの構図は決して正義と悪の二極化に分かれるものでない。

ヴィットリオ・ストラーロの映像はいつもながら素晴らしい。

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2004/12/04

2046

製作年:2004年
製作国:香港
監 督:ウォン・カーウァイ 

1967年の香港。アパートの一室で男が小説を書いている。彼はジャーナリストから小説家に転身した。いま書いているのは「2046」と言うタイトルの近未来小説である。人々は“2046”に行けば、失われた愛を取り戻せると信じていたが…。

もっとSF映画のような未来社会の話かと思っていたら、違っていた。

ウォン・カーウァイ監督作品はいつも音楽が反復されて使われ、それが絶妙な効果を生んでいる。本作も見事なくらいにうまい。特にナット・キング・コールのようなスタンダードナンバーを新鮮に聞かせるセンスは素晴らしい。

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2004/12/03

恋する惑星

「恋する惑星」★★★★(ビデオ)
1994年香港 監督:ウォン・カーウァイ 
出演:トニー・レオン フェイ・ウォン 
   ブリジット・リン 金城武 

麻薬取引にかかわる金髪の女ディーラーと、恋人にふられ落ち込み気味の刑事モウとの不思議な出会い。そして、モウが立ち寄るスナック店の新入り店員フェイと、スチュワーデスの恋人にふられる警官との出会いとすれ違い。二組のカップルの出会いをめぐるドラマ。

音楽、映像処理、小道具。香港映画のイメージを一新させたポップな映像は、いま観ても鮮烈な印象を受ける。

失恋した二人の男がウジウジと悩む姿はあまりいいものではないが、その悩み方がかなりユニークで微笑ましい。

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2004/12/01

地球で最後のふたり

製作年:2003年
製作国:タイ/日本/オランダ/フランス/シンガポール 
監 督:ペンエーグ・ラッタナルアーン 

バンコクの日本文化交流センターで働くケンジは、病的なほどの潔癖症で、周囲との関わりを避けている。毎日のように自殺を考えている。そんなある日、日本でトラブルを起こしたヤクザの兄・ユキオがやって来るが…。
浅野忠信がヴェネチア映画祭コントロコレンテ部門で最優秀主演男優賞を受賞。

ヤモリが象徴するのは孤独。絵本になぞらえたように肉親を亡くし、一人ぼっちになった孤独な二人。

ケンジ(浅野忠信)の綺麗に片付けられた部屋。彼のカオスを秩序あるものへ誘う世界のようであるが、それでは埋まらない心の闇。そして、新たなカオスに身を置いて再生していくのだ。

三池崇史の殺し屋が可笑しい。

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