製作年:2003年

2010/12/19

ロボコン

製作年:2003年200707133

製作国:日本
監 督:古厩智之

“理数系の甲子園”で競うあうロボット技術。人数集めのためにロボコンに携わることになる一人の少女。競技を重ねるごとに成長を遂げていく落ちこぼれ四人組。

この当時はまだまだ無名であったが、いまや、長澤まさみ、小栗旬、伊藤淳史、塚本高史と揃えば、大注目を浴びること間違いなしの四人組である。公開当時は、ロボコン自体の目新しもあって、ベストテンにも入れた作品であるが、こうして再見してみると、細部が気になって仕方ない。

里美(長澤まさみ)のやる気のなさ。相田(小栗旬)の人付き合いの不得手さ。四谷(伊藤淳史)の自信のなさ。竹内(塚本高史)の根気のなさ。それぞれの短所がロボコンを通して克服していくのが本作品の主題であると思うけれど、その心の動きを的確に描いているとは感じられない。それらしいエピソードもあるが、あくまで説明でしかなく、表現にはなっていない。図師先生(鈴木一真)の存在もそうである。彼らをどのくらい確信的に導いているのか分からないのである。

“今日がずっと続いたらいいのに”と里美(長澤まさみ)がつぶやく場面は秀逸だった。

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2009/04/13

珈琲時光

製作年:2003年
製作国:日本
監 督:ホウ・シャオシェン

小津安二郎の生誕100年を記念して製作されたホウ・シャオシェン監督による東京を舞台にしたドラマ。直接的には小津安二郎を感じさせる作風ではなかったと思いますが、静謐な人間描写が心地よい作品でした。フリーライターの陽子(一青窈)と古書店の二代目主人、肇(浅野忠信)。二人は恋人同士だろうという最初に受けた雰囲気が、突然に覆されるドラマ展開に驚きました。普通でありながらどこか普通でない感じ。それでも違和感なく見られてしまったのは、詩情あふれる映像の力からでしょうか。いつまでも見続けていたい気分にさせられました。

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2008/08/05

アメリカン・スプレンダー

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ

社会的常識をわきまえず周囲に迷惑をかけるような生活は、許されるものでない。だが、社会通念に縛られることなく、自分の個性を大切に生きていくということは、とても大切なことではないか。自分の日常をコミックにするというアイディアが浮かんだとき、そんなものはつまらないとすぐに打ち消してしまうか、面白いものになると積極的に行動するかである。そこでの判断基準は、世間一般ではなく、自分がどう感じるかである。無論、行動に起こせば、すべて成功するというほど甘いものではない。自分の価値感が世間のそれとあまりに乖離していれば、誰も共感してくれないであろう。だが、本作品の主人公ハーヴィー・ピーカーのように、その結果は行動してみないと分からないものだ。彼のひらめきは、コミックからこうして映画にもなり、遠く日本に住む自分のところまで届くくらい、彼のドラマを波のように広がる起点となったのだ。実に興味深い。

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2008/07/20

ニュースの天才

製作年:2003年
製作国:アメリカ
監 督:ビリー・レイ

スティーブン(ヘイデン・クリステンセン)の捏造記事による栄光と転落を描いた作品であるが、それだけでは終わっていない。チャック(ピーター・サースガード)の成長ドラマとしてみることができる。二人を対比させる構成がなかなか巧い。人望の篤かったマイケル(ハンク・アザリア)の後任として新編集長に抜擢されたチャック。就任早々に巻き起こる捏造疑惑。スティーブンを庇おうとする社内の空気に対して、どう対処するか。ケイトリン(クロエ・セヴィニー)へ語る報道誌の思いが激しく胸を打ちます。

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2008/06/23

みなさん、さようなら

製作年:2003年
製作国:カナダ/フランス
監 督:ドゥニ・アルカン

どれだけ出会いを大切にできるか。人の生涯の幸福度は、そのことに掛かっているのではないか。末期ガンに掛かったレミ(レミー・ジラール)が家族や友人に囲まれて、いかに最期の時を過ごすかという物語である。それにしては、意外に大きな役割を占めているのが、麻薬中毒者のナタリー(マリ=ジョゼ・クローズ)である。もし、レミの鎮痛剤としてヘロインをセバスチャン(ステファン・ルソー)が探していなければ、孤独のまま生涯の幕を落としていただろう。だが、彼女はこの父子と関わりあうことにより、人生の転機を掴むことができたのだ。一度は台無しにしてしまうような失敗もするが、そこから彼女は変わっていく。本作品の主題は彼女を通して表現されている。

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2007/05/21

ニワトリはハダシだ

製作年:2003年
製作国:日本
監 督:森崎東

どうして、この家族は別々に暮らさなければならなかったのか。サム(浜上竜也)の教育方針を巡る対立という表面的な理由も示されているが、それだけではないような気がする。

時に、意地を張らなくては生きていけないこともあるだろう。お互い惚れた者同士の想いは消えていないのに、我を捨てることができない。

警察汚職。在日朝鮮人。知的障害。様々な社会問題を含んだコメディであるが、こういう頑なな生き方を貫くところは良質なハードボイルド小説のようであった。

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2006/12/15

油断大敵

製作年:2003年
製作国:日本
監 督:成島出

本来なら、敵と味方。明確な境界線はあり、決して混じることがない筈なのに、何故か通じ合っていく心情。白か黒かで分けられないグレーゾーンを焦点にしたとき、映画は深い味わいを増していく。

関川刑事(役所広司)と泥棒の猫田(柄本明)の二人が醸し出すユーモアやペーソス。父との濃密な時間を求め、頑なに再婚を拒絶した娘が、ひとり旅立っていく寂寥感。泥棒稼業を選んでいく猫田の少年時代の悲痛。

日常の中で巻き起こる感情を巧みに掬い取っている。

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2006/11/21

リトル・イタリーの恋

製作年:2003年
製作国:オーストラリア/イギリス
監 督:ジャン・サルディ

コンプレックスの固まりのようであったアンジェロ(ジョヴァンニ・リビシ)は、常に自分のことばかりしか考えていなかった。だが、今回の結婚騒動で、弟ジーノ(アダム・ガルシア)、ロゼッタ(アメリア・ワーナー)、コニー(シルヴィア・ドゥ・サンティス)と周囲にも気を配れるようになる。

そのことで、自らの孤独を開放できるようになったのだ。自分を捨てることによって、豊かな何かを得ることができる。

こうして弟が兄を引っ張っていた関係が、はっきりと逆転してしまう。これが本作品のポイントだ。

ここで気になるのは、よそ者で喋ることができない絵描きの存在だ。カフェの壁に描いた絵がロゼッタの島と酷似していたこと。老人の願いで一度は描いた船を消してしまったこと。

ラスト・シーンで、カフェを覗くが、入らずに行ってしまうこと。彼はこのイタリア移民のコミュニティーに幸福を運ぶ天使のような存在ではないのか。

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2006/10/27

トンケの蒼い空

製作年:2003年
製作国:韓国
監 督:クァク・キョンテク

「友へ チング」(2001)のクァク・キョンテク監督と「MUSA 武士」(2001)のチョン・ウソンの組み合わせ。そこから呼び起される期待を大きく裏切る作品になっている。

ありきたりな父と息子の確執と和解のドラマになっていないのは、ひとえにトンケ(チョン・ウソン)のキャラクター造形にある。トンケ=野良犬という言葉のイメージかから浮かんでくる野性味よりも、いつも何かに怯えているような様子は捨て犬の方がぴったりくるのだ。

問題なのは、彼が軽い自閉症でないかと思われるのに、父親や周囲がそれに気付いていないことではないか。特徴的だったのは、父親がスリの常習犯で身寄りのない女性ジョンエ(オム・ジウォン)を家に引き取ってきたというのに、異性として意識するよりも、テレビが見られなくなることの方を気にしてしまうところだ。

単に自分の夢を持てず父親に反発して生きているのとは違うと感じる。

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2006/10/18

輝ける青春

製作年:2003年
製作国:イタリア
監 督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ

何故、あの時出て行くのを止めることができなかったのか。何故、あの時電話を取らなかったのか。失ってしまった人の後で、何度も自問を繰り返す後悔。彼らの思いが切実に響いてくる。

マッテオ(アレッシオ・ボーニ)にとって人生を変えてしまったひとつの出会い。誰かを救おうとして救うことができなかった自分の非力。

頼りない自分を律するように軍隊や警察で勤務するが、自分の居場所を見つけることはできない。自己嫌悪の中、誰とも距離を置こうとして、そのことでさらに傷ついてしまう悪循環。

唐突に終止符を打ってしまった彼の人生であるが、決して無駄ではなかったのだ。彼の存在は新たな出会いや出発を呼び起す起点となっている。それに気付けなかった彼の不幸をじっと噛み締める。

6時間6分という上映時間、DVDも2枚に渡り、鑑賞前は覚悟がいる。だが、見始めれば、イタリアの奔放な歴史と魅力的な登場人物たちに呼び込まれ、あっという間であった。なんと芳醇な時間であっただろう。映画は時間で計れない。

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