製作年:2001年

2009/01/20

オリンダのリストランテ

製作年:2001年
製作国:アルゼンチン
監 督:パウラ・エルナンデス

人生に意欲をなくしてしまったら、少しずつ衰退していくのであろう。イタリカからブエノスアイレスに渡り、たったひとりでオリンダ(リタ・コルテセ)が作り上げた小さなリストランテ。人生に疲れてしまい、その店を手放そうかどうか迷っている時、作り料理も冴えなくなってしまうものなのか。序盤で、オリンダの料理に調味料を求める客が繰り返し登場するのはその表れだろう。そんな彼女の前に現れた不器用なドイツ人ピーター(アドリアン・ウィツケ)。この出会いが人生の転機となるのだから面白い。ピーターを助けている内に、オリンダは新たな道を見つけていくのだ。そして、輝くような存在感を取り戻していく。

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2008/08/16

子猫をお願い

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:チョン・ジェウン

高校時代、なんの屈託もなく笑いあった仲間たち。卒業後、何度も集まってみるが、どこか笑顔がぎこちない。虚栄。見栄。嫉妬。様々なマイナス感情が笑顔を隠してしまう。彼女たちは、まだ自分の居場所を見つけられずにいるのだ。高校時代には学校があった。将来への夢も漠然と見ていた筈だ。だが、実際にその夢のスタートラインについたとしても、次に進む道を探せないでいる。その苛立ちを友人たちにぶつけているのだろう。映画のラストで、彼女たちは新たな旅に出る。その先に、彼女達の居場所があるかどうかは分からない。しかし、そうした旅を重ねながら、屈託のない笑顔を取り戻すと信じたい。

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2006/09/28

ビハインド・ザ・サン

製作年:2001年
製作国:ブラジル
監 督:ウォルター・サレス

1910年という年譜の記述が重要な意味を持つ。いつまでも終わりの見えない不毛な復讐劇。ブラジルの荒地を舞台にしているから、時間を超越した神話的雰囲気を醸し出している。

それでも、時代は変わっていく。新しいテクノロジーの発展により、同じ作業をしても減ってしまう収入。奴隷制度の崩壊。未知の世界へ誘う本。父親の頑なな価値観で子供たちを縛っておくことはできなくなってしまうのだ。

そうした新しい世界への希望を表しているのがブランコではないか。次男トーニョ(ロドリゴ・サントロ)が乗っているときに縄が切れてしまうのが、複雑な意味を込めた暗喩になっている。

新しい世界への脱出とも、夢からの脱落ともとれる。三男(ラヴィ・ラモス・ラセルダ)のように素直に夢へ進んでいけない逡巡がそこから感じられた。

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2006/01/21

コースト・ガード

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:キム・ギドク

南北境界線を監視する海兵隊のカン上等兵は北朝鮮のスパイを打ち倒すことに血眼となっていた。ある夜、立ち入り禁止となっている海岸に不審な人物を見つけ即座に射殺する。だが、その男は恋人との情事を楽しんでいた地元住民だった。カン上等兵はショックを受ける。上層部は任務に忠実だったと表彰するのであるが…。

境界線にまつわる物語に魅了されるのは、そこにアイデンティティーに対する切実な問い掛けが隠されているからだろうか。生と死、男と女、国と国、正常と異常、日常と非日常。その境界線がぼやけてしまうとき、様々なドラマが生まれ、自分とは何か改めて考えさせる起点となる。そうした意味で分断国家として今なお存在している朝鮮半島は、数々の物語を生み出すことが宿命づけられているのかしれない。

本作品が興味深いのは様々な境界線が設定されていることだ。時代背景は現代に近いと推測されるが、朝鮮戦争から十数年経ち緊張が緩んでしまった北朝鮮との関係がまず一つ。立ち入り禁止となった海岸線。軍隊を統率すべき規範と上下の関係。地元住民と海兵隊。加害者と被害者。それぞれの境界線が曖昧になったとき、思いもかけない事態が次々と発生する。

さすがキム・ギドクの映画だと唸らせてくれるのは、カン上等兵(チャン・ドンゴン)が襲撃するときに、顔をぼかしていることだ。単にひとりの狂人の犯行ではない、加害者は誰にでもなりうることを表現していると解釈しました。やはりキム・ギドクの映画は見逃せないなぁと確信させる。

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2005/12/25

ヒューマンネイチュア

製作年:2001年
製作国:アメリカ/フランス 
監 督:ミシェル・ゴンドリ-

異常に毛深い体質の女性ライラはマナーに異常な関心を示すネイサン博士と出会い恋に落ちる。ネイサンは礼儀正しい文明社会こそが人類を救うと信じていた。ある時、二人は森へ出かけると、自分を猿だと思い込んでいる男に出会う。ネイサンは彼を“人間”として再教育しようと研究所へ連れ帰るが…。

三人三様の証言で物語が進んでいく。しかも、一人は死者ということで黒澤明監督の「羅生門」(1950)を連想させる作りになっている。何故、ネイサン(ティム・ロビンス)は死んでしまったか。その疑問と共に、最後まで画面にひきつけられる。

マナーとは何か、皮肉的に描かれている。マナーが類人猿と人間を分ける違いの象徴になっている。マナーを身に付けることで、ありのままの自分を捨てて、世間一般の理想的人物に変わって登場人物たち。その姿はどこかぎこちない。そうかといって、“ありのままの自然が一番だ”というような単純な落ちでも終らない。この中途半端の浮遊感こそ、さすがチャーリー・カウフマンのシナリオだと思わせる。

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでエオウィン姫を演じていたミランダ・オットー。彼女がネイサンを誘惑する研究所助手として出演していたことが発見。

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花嫁はギャングスター

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:チョ・ジンギュ

女組長のウンジンは、幼い頃に孤児院で生き別れになった姉をようやく探し当てる。だが、姉は末期ガンで余命僅かの状態だった。ウンジンは姉のために結婚を決意する。さっそくお見合いをするが、かわいらしく振る舞えず失敗ばかり。やっと、モテないけれど真面目な公務員スイルを見つけ、どうにか結婚に持ち込んだが…。

「たった一人で50人の敵を倒した」という女組長ウンジン(シン・ウンギョン)の武勇伝。それを冒頭で見せる。雨中の格闘シーンはスタイリッシュでクール。ここで一気に引き込まれたのだが、後が続かない。

コメディーって、逃れる術を全て失ってしまった設定に入り込んでしまった登場人物が、悪戦苦闘する様が可笑しいのである。本作品の主人公が結婚しなければならなくなるという設定に無理があるのではないか。無論、儒教の精神が息づいており、目上の人の言葉が絶対的な意味を持つにしても、黒社会で組長を務めるものが、こんなことでドタバタするのかという思いが残り続ける。

不自然な結婚をした者同士がある事件をきっかけに惹かれあうという流れは、この種のドラマのパターンであるが、それも崩されている。スイルがウンジンの代わりに殴り込みをしてはいけないでしょう。確かに組の歴史を語る場面が反復され、コメディーポイントにはなっているのだが、ドラマとしては物足りない。

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2005/12/13

受取人不明

製作年:2001年
製作国:韓国 
監 督:キム・ギドク

1970年末の在韓米軍部隊が駐屯している村。米兵との混血児であるチァングクは母と村の外れにある赤いバスで暮している。小さい頃片目をけがしたウノクは、コンプレックスのためいつも前髪で顔の半分を隠していた。米軍基地前の肖像画店で働く気弱なジフムはウノクに好意を抱くが…。

紛れもないキム・ギドク監督の作品だ。あまりに痛烈で胸がかき乱される。逃れる術のない苦しみを抱き、罪を重ねてしまう人たち。「受取人不明」というタイトルが彼らと重なってくる。

アメリカの軍用機の描写が繰り返されているが、今も朝鮮戦争の影響下にあることを暗示させている。戦争で片足を負傷した父。戦死したと思われていて実は北に亡命していた父。アメリカに帰国したまま音信不通になってしまった父。主人公三人の家庭は朝鮮戦争によって傷つき、そのことが息子、娘に暗い情念を抱かせている。そうした元凶をアメリカにあるとして非難するのであれば、少女ウノクに近付くアメリカ兵ジェームズをもっと悪く描いていただろう。米軍の中で異端であり続ける彼も戦争によって傷ついているアメリカ社会の象徴である。

本作品では目に関わるエピソードが執拗に続く。幼い頃ウノクはおもちゃの拳銃で右目を負傷する。ジフムの目はウノクの部屋を覗きみる。犬商人ケヌンはチァングクに「犬に負けない目を持て」と教える。ウノグを襲った二人組に復讐するために自家製の拳銃を向けるがジフムだが暴発し右目を負傷する。ウノクの目を直すことで彼女に接近するジェームズ。見事に連鎖していくのだ。それは不条理な世界に振り回され、適えたい思いは打ち砕かれ、コントロールできない社会への苛立ちを象徴しているのではないか。

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2005/09/16

ロスト・メモリーズ

製作年:2001年
製作国:韓国/日本
監 督:イ・シミョン

1909年。中国ハルピン駅での伊藤博文暗殺は失敗に終わった。日本は米国との同盟を結び第二次大戦を連合軍側につき戦勝国となる。朝鮮半島の日本併合はそのまま続いた。2009年、ソウル。朝鮮独立を目指すテロ集団が井上財閥主催の美術展を襲撃する。直ちにJBI(日本特殊捜査局)が出動するが…。


動画無料配信の「GyaO」で初めて映画を観てみました。インターネットで映画を観られる時代になったのだと感慨深かったです。

坂本(チャン・ドンゴン)がスパイとして同僚に射殺された捜査官の父を懸命に否定しようとするが、決して忘れることはできない。日韓併合という形で祖国をなくしても、国ヘの想いが断ち切れない“不令鮮人”の姿と重なるし、その後の行動を暗示している。

問題なのは坂本の捜査方法である。いくら疑惑のある企業であっても、正面から狂騒的に向かっていってはまともに相手にされないのは当たり前である。それで停職処分を食らって局長にどなり込むところもどうかと思う。おかしな日本語の発音については目をつぶっても、こういうところにはリアリティーを求めたい。

そして、坂本とオ・ヘリエ(ソ・ジノ)の因縁ももう少し説明が欲しかった。ここが物語の肝であると思えるのだ。坂本が記憶をなくしているのはいい。だが、ヘリエの存在はどういうものだったのか、もう一つ納得できなかった。

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2005/09/05

ウェルカム ヘヴン

製作年:2001年
製作国:スペイン/フランス/イタリア
監 督:アグスティン・ディアス・ヤネス

地上で暴力や犯罪が多発している現在、天国では昇ってくる魂が激減し、破産の危機に直面していた。一方、地獄は堕ちてくる魂が急増し、過密状態が続いている。双方が、この危機的状況を打破するカギを見つけた。マドリードに暮らすボクサーのマニの魂を迎え入れることだ。天国と地獄は、それぞれ使者を送り込むが…。

物語のディディールが分り難く、単純に楽しむことができなかった。何故、うらぶれたボクサーが天国と地獄の間で争奪戦となるような重要人物なのか? 「ライ麦畑でつかまえて」の意味は? そこに重要な暗喩があるのかもしれないが、読解できなかった。

天国と地獄の工作員同士が共同生活を過ごす内にひそかに共感し合っていく。そこで天国と地獄の境目が曖昧になっていく。

そもそも天国と地獄の境目とは何だろうか。消化不良のまま、疑問ばかり残っていく作品だった。

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2005/09/02

エニグマ

製作年:2001年
製作国:イギリス
監 督:マイケル・アプテッド

1943年、イギリス軍の暗号解読センター。ナチスドイツの暗号化装置“エニグマ”の暗号コードが突然変更されたため、解読チームが窮地に立たされていた。かつてこの暗号を解読したトムが呼び戻される。彼は同じセンターで働く恋人クレアと喧嘩別れしたことで神経衰弱に陥り、強制的に休暇を取らされていたのだが…。

ロンドン北97km、ブレッチリー・パークにあった暗号解読チーム。「カチンの森」事件。今まであまり伝えられなかった歴史の一部が本作品で綿密に描かれている。第二次世界大戦をテーマに描いた映画はたくさんあるが、まだまだ知らないことがたくさんある。そのことを興味深く考えさせられたことがひとつ。

事件と共にトム・ジェリコ(ダグレイ・スコット)のクレア(サフロン・バロウズ)の恋の記憶が断片的に挿入されてくる。この編集が絶妙でミステリー的興趣が増してくる。

事件を追いかける諜報部員をジェレミー・ノ-ザムが好演。嫌らしい笑顔を見せながら、トムを追い詰める様がなかなかよい。

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2005/08/19

ギャング・オブ・ニューヨーク

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:マーティン・スコセッシ

1846年。ニューヨークのファイブ・ポインツ。アイルランド移民たちの組織“デッド・ラビッツ”はアメリカ生まれの住人たちの組織“ネイティブズ”と激しく対立していた。そして、抗争の最中、デッド・ラビッツのボスであるアムステルダムの父親が敵のボス、ビリーに殺されてしまうが…。

厚みある映像が素晴らしい。セットや衣装の豪華さに圧倒される。壮大なスケールを持つ大作であることは間違いない。

たが、その映像の深みに物語が負けている。父親の敵を討つ復讐ドラマとしても、ラブストーリーとしても中途半端。それぞれの登場人物に感情移入できないのだ。2時間40分という上映時間を使っても、テーマを絞りきれなかったのではという思いが残る。

アカデミー賞にもノミネートされ評判高いダニエル・デイ=ルイスの演技だが、私には作り物のようであり、いまひとつ馴染めなかった。

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2005/08/18

黒水仙

製作年:2001年
製作国:韓国
監督:ペ・チャンホ
出演:イ・ジョンジェ アン・ソンギ
   イ・ミヨン チョン・ジュノ

50年間独房に収監されていた男ファン・ソクが釈放された。同じ頃、漢江に水死体が上がる。捜査を始めた殺人課のオ刑事は被害者がヤン・ダルスで朝鮮戦争中、捕虜収容所が置かれていた巨済島で脱走捕虜を捕らえる任務についていたことを知る。その捜査の過程でソン・ジヘという女性の古い日記が見つかるが…。

現代のどこにでもあるような殺人事件を追いかけるうちに、数十年前の悲劇が浮びあがってくる。前半は野村芳太郎監督の「砂の器」(1974)を想起させて、大いに引き込まれる。

だが、後半で崩れてしまう。肝心の捕虜脱走事件について人間関係が不明瞭で未整理のままだ。様々な疑問点が解消されないまま残ってしまう。次に、オ刑事(イ・ジョンジェ)が捜査で日本の宮崎に向うところ。疑惑の男がとても日本人とは思えない変なイントネーションの言葉を使うことには文句をつけない。問題は男がオ刑事を高千穂峡に誘ってからのくだり。これではあまりに現実離れしているし、アクションシーンにもひねりがない。そして、クライマックスの展開も大いに不満。あれだけ盛り上げておいて、見事に肩透かしを食らった思い。もう少し違う趣向があったのではないか。

最後でソク(アン・ソンギ)が「その体にさわるな」と一喝する場面が強く心に焼き付く。一人の女性を愛したことでその半生を独房で暮らし、ただ木彫りの人形を彫りつづけた男。その報われない想いの全てがここに収斂されている。

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2005/08/17

悪い男

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:キム・ギドク

昼下がりの繁華街。売春街を取り仕切るヤクザのハンギは一人の女性に眼を奪われる。その女子大生ソナはハンギに侮蔑の視線を向けるとハンギは強引にソナの唇を奪う。周囲は騒然となり、取り押さえられたハンギは軍人たちから袋だたきにあってしまう。ソナにも唾を吐かれ罵られてしまうが…。

あまりにも極端な設定に現実味が不足しているのかもしれないが、そういうありえないシチュエーションを創造することこそフィクションの醍醐味だ。倒錯した愛の世界と言えばリリアーナ・カヴァーニ監督の「愛の嵐」(1973)などすぐ浮んでくるが、本作品も卓越したオリジナリティーを誇っていると思う。

このような特異な物語を成立させるにはキャラクターの造形が何よりも大切である。こんな人間であれば仕方ないと納得させられるか否かで作品に説得力が左右される。本作品でもヤクザのハンギ(チョ・ジェヒョン)の存在感が圧倒的で異彩を放つ。無言のままソナ(ソ・ウォン)を見つめる視線の激しさ。時に激しく時に憂いを帯びていて画面は常に緊張感に包まれる。そして、彼が唯一言葉を発する場面の苛烈さ。忘れがたいシーンだ。

鋭いガラスやナイフで腹を刺される反復。顔がない海辺の写真。死を予感させる描写が続く。エピローグのシークエンスは、現実というよりハンギの死に際に浮んだ哀しい夢の姿でないだろうか。

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2005/07/25

地獄の黙示録 特別完全版

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:フランシス・フォード・コッポラ

ベトナム戦争が真っただ中のサイゴン。アメリカ陸軍情報部のウィラード大尉にある密命が下される。カンボジアに特殊任務で赴いたまま消息を絶ち、ジャングル奥地に自らの王国を築いた危険人物カーツ大佐を暗殺せよ、というものだった。ウィラード大尉は4人の部下とともに哨戒艇に乗り込み川をさかのぼる。

山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」(2002)を観たとき、映画評を読んでいると、本作品との類似点を指摘したものが複数ありました。それを確かめたくて再見しました。なるほど、ウィラード大尉(マーティン・シーン)とカーツ大佐(マーロン・ブランド)と対峙するところは、清兵衛(真田広之)と余五(田中泯)の決闘シーンとダブリます。山田監督も影響を受けているのでしょうか。

何度観てもこの映像は圧巻です。一つ一つの場面に目が奪われます。現在のハリウッドシステムでは、もうこんな映画は創り出すことはできないでしょう。まさに映画史に残る一本です。

本作品にハリソン・フォードが端役で出演しているのは有名ですが、ローレンス・フィッシュボーン(「マトリックス」シリーズのモーフィアス役など)が出ているのが今回の発見でした。

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2005/07/19

Blue

製作年:2001年
製作国:日本
監 督:安藤尋

海の近い田舎町。高校3年になった桐島カヤ子はいつも一人でいる大人っぽくて物静かな遠藤雅美をお昼に誘った。遠藤はひとつ年上であるが、去年、何かの理由で停学し同級生になっていた。遠藤は桐島の知らない音楽や本をよく知っていて、親しくなるにつれ桐島は遠藤にひかれていくのだが…。
第24回モスクワ国際映画祭で市川実日子が最優秀女優賞を受賞。

「卒業したらどうする」という問いに、答えのない二人。「青い春」(2001)を連想させる未来を描けない高校生たち。その漂うような日常を安藤尋監督は巧みに映像化している。青い空。青い海。青い夜。タイトルに沿って青い世界が映画全体を包んでいます。

相手に自分の気持ちが通じたという喜び。だが、自分の想いほど、相手は自分のことを大事にしてくれなかったという苦しみ。そういう感情が痛いくらい伝わってきます。

もっとも印象深いのは、クライマックスの夜の徘徊シーン。桐島(市川実日子)も遠藤(小西真奈美)も様々の思いを清算させ、新たな旅立ちを感じさせます。

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2005/06/28

ハッシュ

製作年:2001年
製作国:日本
監 督:橋口亮輔

ペットショップで働く直也は気ままなゲイライフを送っており、周囲にゲイであることを隠しもしない。それに対して、土木研究所で働く勝裕は、自分がゲイであることを隠して生きている。そんな2人はやがて付き合うようになっていく。ある時、二人は歯科技工士の朝子と偶然に知り合うが…。

もちろん橋口亮輔監督の演出によるものでもあるだろうが、片岡礼子、高橋和也、田辺誠一の3人が素晴らしい。それぞれの悲しみや怒り、喜びが、ヴィヴィッドに伝わってきます。そして、秋野暢子の迫真の演技にも感嘆しました。

ゲイに関連したジョークをたくさんとり入れ、クスクスと笑わせながら、新しい家族のあり方をさらりと描く。人間描写が卓越しており、独特の雰囲気が映画全体を包んでおります。

ラストシーンがまたいいです。ほのぼのとした情感を残します。

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2005/06/27

ピアニスト

製作年:2001年
製作国:フランス/オーストリア
監 督:ミヒャエル・ハネケ
原作:エルフリーデ・イェリネク
出演: ブノワ・マジメル
   アニー・ジラルド アンナ・シガレヴィッチ

子供の頃から母の夢でもあったピアニストになるため、母親に厳しくしつけられたエリカ。しかし、ピアニストにはなれず、名門国立音楽院でピアノ教授となっていた。異性に触れることもなかったエリカだったが、ある時、生徒のワルターから恋の告白を受けるのであるが…。
第54回カンヌ映画祭で審査員特別グランプリ、イザベル・ユペールが主演女優賞、ブノワ・マジメルが主演男優賞を受賞。第27回セザール賞でアニー・ジラルドが助演女優賞を受賞。

上記のようにカンヌ国際映画祭で3部門受賞したという以外、内容的には前知識もなく観ました。ポスターのイメージから音楽家の恋愛ドラマだろうと予想していたら、あまりの凄まじい内容に唖然としてしまいました。まず、この驚きがひとつ。

その内容については語りませんが、席を立ちたくなるような居心地の悪さをおぼえました。この感じは若松孝二監督の「水のないプール」(1982)を見て以来のことであります。

もっとも不可解だったのは、幕切れのエリカ(イザベル・ユペール)の行動。自殺にしてはあまりに中途半端だし、怒りの納めどころをなくし思い余って自分の胸を突いたのかと思っておりました。しばらくしてキネマ旬報を読んでいたらこの行動の意味を解説してあり、大いに感銘を受けました。彼女が傷つけていたのは、指先に関係する筋らしい部分であり、つまり、そこを切断すればピアニストとしてのキャリアを終えるということであったのだ。そうであれば、私が漠然と感じていたことでなく、非常に重要な意味を持つ場面になる。彼女を束縛してきた世界から自ら解放し、新たな旅立ちととらえることもできるのだ。映画を読み解くという事は実に奥の深いものである。

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2005/06/25

スパイダー

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:リー・タマホリ

ワシントンの一流私立学校キャシドラル・スクールで、上院議員の娘ミーガンが誘拐される。2年ものあいだ、教師になりすましていたゲイリー・シーンジが厳重な警戒をかいくぐり犯行が遂行された。著名な犯罪心理捜査官アレックス・クロスの著作を読破していたソーンジは、クロスに捜査を担当するよう要求するが…。

ミステリーものとして大変面白く観られた。前作の「コレクター」(1997)についてはあまり覚えていないのだが、モーガン・フリーマン演じる主人公アレックス・クロスは実に魅力的。二転三転する展開もなかなかである。

身代金の受け渡し場面が、黒澤明監督の「天国と地獄」(1963)やドン・シーゲル監督の「ダーティー・ハリー」(1963)を連想させる。オリジナリティーの欠如というよりは、映像表現の継承として捉えておきたい。

不満はプロローグ。囮捜査の失敗で同僚を死なせてしまったクロスの苦悩がその後の展開にあまり絡まず、あれなら無くてもいい。

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2005/06/15

狗神

製作年:2001年
製作国:日本
監 督:原田眞人

四国の山奥にある小さな村。孤独に和紙づくりを続ける41歳の女性、美希は村を訪れた新任教師、晃と出会い愛し合うようになる。彼女は急速に若返っていくが、それと同時に村では奇怪な事件が相次ぐ。美希は村人たちから忌み嫌われる坊之宮家の狗神筋の家系であったが…。

二回目の鑑賞となるので物語の展開を分っている。途中でサプライズも用意されているのだが、その伏線もしっかりしているので見飽きることがない。

そして、映像が素晴らしく画面に釘付けとなってしまった。特に美希(天海祐希)の紙漉きの場面をなんと官能的に捉えていることか。また、「思うがです」などの土佐弁の響きが耳に心地よかった。

ただ、あの結末が疑問。あまりに唐突すぎる。観客の想像にゆだねるにしても、もう少し美希と晃(渡部篤郎)の行方を知りたかった。終盤までよかっただけにそこが残念。

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2005/05/31

ノー・マンズ・ランド

製作年:2001年
製作国:フランス/イタリア/ベルギー/イギリス/スロヴェニア
監 督:ダニス・タノヴィッチ

1993年6月、ボスニア紛争の最前線。霧で道に迷ったボスニア軍の兵士たち。いつの間にか敵陣に入り込みセルビア軍の攻撃を受ける。唯一の生存者チキは、なんとか塹壕にたどり着き身を隠す。そこへ偵察に来たセルビア兵はボスニア兵の死体の下に地雷を仕掛けて引き上げようとするが…。
第74回アカデミー賞で外国映画賞、第54回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。

ボスニアとセルビアの苛烈な対立。互いに戦争の原因は相手側にあると言い合うシーンが印象深い。本作品には国連批判、メディア批判といろんな視点で描かれておりますが、兵士たちは自国の正義を盲目的に信じて戦っているのだということも描写されております。

そうして始まった戦いが、今度は復讐の念にとらわれ収拾されることなくドロ沼状態に陥っていくのだ。その怨念の連鎖に慄然とする。

さらにラストシーンが圧巻です。取り残されてしまう男は、救われることのないボスニアとセルビアの象徴であると思いました。ダニス・タノヴィッチ監督の辛辣なメッセージが伝わってきます。

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2005/05/24

A2

製作年:2001年
製作国:日本
監 督:森達也

1999年9月。前作「A」(1998)に続き森監督は再びオウム施設を訪れた。そこにはマスコミが報道する一面とは異なる姿が見られた。立ち退き運動の中で信者と親しくなっていく住民。出所した上祐幹部が身を寄せるマンションを取り囲む右翼と、それをシャットアウトする警官隊の対立。1年後、撮影は終わるが…。

前作「A」が非常に素晴らしかったので、本作品をやっと観ることができて嬉しかった。前作同様に、マスコミ報道では知ることのできない映像がここにある。

日本各地に分散して活動を続けるオウム信者と地域ぐるみで反対運動を繰り広げる地元住民。騒然と報道されていた裏側で築かれていく奇妙でユーモラスな人間関係。マスコミの報道する事実は、多面体の一面でしかない。改めてそのことに気づかせてくれます。

事件以降、なお修行を続ける信者たち。それに激しく抗議する右翼たち。それぞれの中にカメラが入り生の肉声が聞ける本作品はとても貴重な記録であります。本当によく撮れたなぁと感服いたします。

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2005/05/17

MUSA 武士

製作年:2001年
製作国:韓国
監 督:キム・ヨンス

1375年。朝鮮の高麗は明朝と友好関係を築くため、南京城へ使節団を遣わした。しかし、城に辿り着いた使節団はスパイ容疑をかけられ、広大な砂漠地帯へ流刑となってしまう。その輸送の途中で、明を目の敵にする元軍の襲撃に遭い、使節団を連行していた明の兵士は全滅してしまうが…。

歴史から姿を消した実在の使節団をモデルに彼らの足跡を空想するドラマには大いなるロマンがある。剣戟シーンもなかなか迫力を持って見せてくれるが、メリハリなく何度も挿入され最後には飽きてしまう。

そしてドラマ的にも物足りなさを感じる。何故、奴隷であるヨソル(チョン・ウソン)が、そんなに腕の立つ槍の使い手であったのか。その背景がすっかり落ちている。また彼と使節団のチェ・ジョン将軍(チュ・ジンモ)が明王室のプヨン姫(チャン・ツィイー)に一目惚れするのはいいにしても、その三角関係の描き方も甘い。

何よりチャン・ツィイーの姫君に魅力を感じないのが一番のマイナスポイント。利己的でも良いから最後まで毅然としていて欲しかった。

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2005/05/14

夏休みのレモネード

製作年:2001年
製作国:アメリカ
監 督:ピート・ジョーンズ

1976年、シカゴ。カトリックの家庭に育つ8歳のピートは消防士のパパ、優しいママ、そして7人の兄弟と元気に暮らしていた。夏休みの前にシスターから“神の道を行けるかは今年の夏の行ないで決まる”と言われる。彼は兄から異教徒をカトリックに改宗させれば聖人になって天国に行けると聞くが…。

どうしても気になるのは、ピート(アディール・スタイン)がカトリック=善、異教徒=悪と信じて、ユダヤ教会に出掛けていくところ。彼の行動から「宗教とは何か?」というテーマが浮かび上がってくるにしても、あまりに無邪気で非常識。見ていてハラハラする。

ユダヤ教会のラビ(ケヴィン・ポラック)が彼を暖かく見守っているからこのドラマは成立するが、現実的には厳しい仕打ちを受けるのではないのでしょうか。そう思うと落ち着かない。

いい台詞がひとつ。「生命力にあふれた姿は皆の心を豊かにする」。一生懸命、がんばっている人を見ると周りが応援したくなる。そういう真理は確かにあると思います。

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