製作年:2000年

2006/07/21

メルシィ 人生

製作年:2000年
製作国:フランス
監 督:フランシス・ヴェベール

冒頭の記念写真の場面と「僕はいままで透明人間でした」というピニョン(ダニエル・オートゥイユ)の台詞がうまく結び付いている。ゲイ騒動によって、今まで経験したことのない注目を彼は集めることになる。そして、彼はそれまでの自分に何が足りなかったのか気付いていく。

最後に記念写真をもう一度持ってきて、そのことが分る仕掛けだ。人生、遠慮ばかりしていてはいけない。ここぞというところではしっかりとアピールしなければ、何も掴むことはできない。

興味深いのは、人間、レッテルひとつ貼られるだけで、どんな風にも見られてしまうということ。同じ言葉、同じ挨拶、同じ仕草であっても、レッテルひとつで違うように感じられてしまう。

本作品の中では、ゲイという分りやすい例で示されているが、これは普遍的なことであると思う。周囲の目は関係ないと粋がるのは簡単であるが、それによって生き易くも生き難くなることを自覚しておくべきだ。

もうひとつ面白かったのは、差別的言動を繰り返していたサンティニ(ジェラール・ドパルデュー)の変貌であろう。同僚の悪戯からとは言え、徹底的に差別用語を禁じられると、精神的に参ってしまうくらい自己をなくしてしまう。

これは何故か。差別する心とは恐怖の裏返しであるからであろう。激しく罵倒する言葉の裏側で、無意識のうちにも取り込まれてしまうことを恐れているのだ。

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2006/07/16

ファストフード・ファストウーマン

製作年:2000年
製作国:アメリカ/フランス/イタリア/ドイツ
監 督:アモス・コレック

孤独を恐れ愛する人を求めているのに、心を素直に開けない。その関係を失ってしまうことを恐れ、一歩前に踏み出す勇気を持てないでいる。

だが、新しい何かを手にするには、何か行動することが必要なのである。その典型的な事例を体現しているのがヒロインのベラ(アンナ・トムソン)。出来過ぎの強運を手にするが、それも彼女がある行動から導かれたもので、棚からぼた餅のような話ではない。

彼女が全裸でバルコニーに立つ場面が反復されているが、決断できない自らの心をリセットさせている感情を表しているものではないだろうか。

大切なのは、その強運がきっかけとなって、彼女は自らの人生を大きく展開させたことである。不思議な魅力を持った群像ドラマである。

淡々とエピソードが重ねられ、軽妙な会話劇で進んでいく。その狭間に陰影深く登場人物の表情を捕らえたカットが挿入され、彼らの生涯が胸に刻み込まれていく。そして、最後は温かな感情を呼び起し幕切れとなる。

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