製作年:1995年

2006/07/26

マディソン郡の橋

製作年:1995年
製作国:アメリカ
監 督:クリント・イーストウッド

公開当時、アクション映画のイメージが強かったクリント・イーストウッド監督が、一大ブームを巻き起こしロバート・ジェームズ・ウォーラーの原作を映画化したことは大きな驚きであった。イーストウッドと純愛ドラマが結びつかなかったのだ。

しかし、その危惧はいい方に外れ、抑制の効いたドラマ展開に深い感銘を受けた。こうして時間を置いて再見してみても決して色褪せることはない。

「何を選択するかが、人生」という、フランチェスカ(メリル・ストリープ)の言葉が深く心に刻み込まれる。屈指の名場面となった雨中での別れのシーンも、この台詞があるからより哀感を高めることになる。

好きだったら何をしてもいいというマイク・ニコルズ監督の「卒業」(1967)とは対極の世界であり、それが鮮烈に感じられる。簡単に世間の目などと関係ないと言えるのは人生の辛酸を何も知らないからであろう。

世間の目の前で、諦めなくてはならないこともある。辛くても何かを選択しなければならない人を描くということで、「ミスティック・リバー」(2003)や「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)などと繋がっていく。

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2005/05/18

ラン・アウェイ RUN AWAY

製作年:1995年
製作国:韓国
監 督:キム・ソンス

ある夜、ゲームプロデューサーのドンヒとイラストレーターのミランは、偶然に出会いミランのマンションで一夜を共にする。そこで二人は殺人事件を目撃してしまい、口封じのため命を狙われる。警察に保護されるが、警察内部にも組織の手が伸びていた。二人は自ら事件解決の糸口を探そうとするが…。

冒頭のブルーを多用した照明が印象的で、スタイリッシュな映像に引き込まれる。この出だしは良かったのだが、気になる点がいくつか出てくる。

まず、人物造形の掘り下げ方が浅い事。ミラン(キム・ウンジョン)の暗さ、頑なさはどこから起因していのか最後まで分らなかった。そして最初から目撃者も犯人側も警察側も理解に苦しむような判断が続く。およそ現実的でなく、画面から遠くなってしまった。

いい台詞がひとつ。「不幸な人は自分の運命を呪う」。逆に幸福な人というのはどんな不運な事態に直面しても愚痴を言わず常に改善策を考えていくのでしょう。

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2005/05/08

シャイン

製作年:1995年
製作国:オーストラリア
監 督:スコット・ヒックス

デイヴィッドは幼少の頃から音楽狂の父にピアノを仕込まれ、天才少年として評判になった。最初は息子の才能に鼻高々だった父だが、アメリカついで英国の王立音楽院に留学の話が出ると、家族から離れることを暴力的に拒否する。彼は周囲の励ましを受け、家を出てロンドンへ向うが…。
第69回アカデミー賞でジェフリー・ラッシュが主演男優賞を受賞。

これほどに愛憎入り混じった父と息子の親子関係を見たことがない。一方的に虐待するならまだしも、時に滋味深い愛情を施す父親だけに、父親との関係をどう構築したらよいのか息子は迷い続ける。いつまでも息子を自分の支配下に置き続けたいと願う父親。ここに息子への愛情と才能への嫉妬が入り混じっている。

そのために父親は決定的に子離れのタイミングを誤ってしまった。結果的に精神障害を患い、大成功したとはいえないイギリス留学だったが、父親との離反を決断した息子の勇気は称賛されるべきものだろう。

父親役のアーミン・ミューラー=スタールが凄まじい存在感。

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