その木戸を通って
製作年:1993年
製作国:日本
監 督:市川崑
冒頭の映像から圧巻だ。ふと浮かびあがる正四郎(中井貴一)の姿に、思わず惹きつけられてしまう。徐々に正四郎が何をしているのか明らかになっていくのであるが、この場面だけで、どんな映画か十分に表現しているような気がする。ふさ(浅野ゆう子)は、一体、どこから来て、どこに消えてしまったのか。市川監督の系譜から言えば、「竹取物語」(1987)や、「つる 鶴」(1988)に繋がる寓話かもしれないが、SFドラマを時代劇に応用した話のようにも感じる。無理に説明を加えないところも良く、所在の定まらないふさを受け入れた正四郎の気持ちが切々と伝わり、哀感で心いっぱいになる。
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