製作年:1989年

2010/02/03

動くな、死ね、甦れ!

製作年:1989年
製作国:ロシア
監 督:ヴィターリー・カネフスキー

映画とは何も知らないで見た方がいい場合と、あらかじめ前情報を入手してから見た方がいい場合と二つに分けられると思います。本作品は後者に属するでしょう。ヴィターリー・カネフスキー監督の名前だけに惹かれて見始めましたが、冒頭から時代背景も登場人物も分からなく、画面を追いかけていくのがやっとの状態。しかも、何の前触れもなく、日本語で“よさこい節”が流れたりして、あっけに取られてしまいました。

観賞後に色々な解説を読んで、なんとか映画世界を再構築できました。どれだけ沢山の映画を見ていても、こういうことがあるから、観賞する際は常に真剣勝負だと改めて痛感いたしました。本作品の舞台は第二次大戦直後のソ連極東収容所。日本兵も収容されていたから、日本の歌も繰り返し登場するのでありました。

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2009/12/23

タフ

製作年:1989年
製作国:オランダ
監 督:イネ・スヘンカン

シネ・ヌーヴォの“オランダ映画特集2009”の中で上映されていた作品。こうした特集番組の楽しさは、前情報をほとんど知ることもなく真っ白な状態で映画にのぞめることにあると思います。たまたま上映時間の都合で選んだ本作品も、どんなジャンルか分からず、最初はコメディーかと思っていると、そんな生易しいものではなく、まさにタイトルどおりタフな状況が続いていく物語でありました。

アムステルダムの街を舞台に、自由をもて余して途方に暮れている若者たちを描いた群像劇。そうチラシ等に紹介されていますが、それは非常に断片的な側面しか触れておらず、あまり適した情報ではないと感じました。その施設の名称が正しく分かりませんが、社会的状況に傷ついた若者たちが日常生活に復帰するまでの一時避難所を巡る社会派ドラマでありました。

その職員たちも個性的でありますが、それを上回る若者たちの感情剥き出しの言動が圧倒的です。ほとんどの者が暖かい家庭環境を知らないためだろうか、自分の感情をコントロール出来ずに、怒ったり泣いたりして、周囲を翻弄させる。それは同時に自分自身の心も蝕んでいくことにもなり、あまりにひどい場合には精神病院に送らなければならず、全ての者を救えない虚無感も感じられました。

それでも、この施設があってなんとか立ち直ろうとする者もいる。そんな若者たちのために奔走する職員たちに感銘を受けました。

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2008/07/01

黒い雨

製作年:1989年
製作国:日本
監 督:今村昌平

本作品と同様に被爆後遺症に苦しむ人々の姿を描いた映画といえば、「ヒロシマナガサキ」、「夕凪の街 桜の国」と2007年に製作された作品を思い出す。1989年から2007年へ時間は過ぎていっても、被爆後遺症の問題が解決されていないことを実感させる。“黒い雨”を浴びたことから“ピカに遭った女”という噂が消えず、破談を繰り返す矢須子(田中好子)。そのことが前半、大いに不条理と感じられるが、後半になって、その感情は一転する。噂は噂でなくなるのだ。冒頭の、被爆直後の地獄絵図のような描写も震撼させるが、原爆というものの本当の恐ろしさは、この後半にこそ表されていると思う。矢須子を呆然と見送るしかできない重松(北村和夫)。その無念さが心を激しく打つ。

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2005/06/13

機動警察パトレイバー THE MOVIE

製作年:1989年
製作国:日本
監 督:押井守

1999年、東京。人型作業ロボット“レイバー”が工事現場や警察で導入され活躍していた。大規模な東京湾改造計画、バビロン・プロジェクトにもレイバーが大量投入されていた。一方、レイバーが突如暴走するという事件が多発していた。警視庁特車二課の篠原遊馬は事件を担当し、計画的犯罪であることを知るが…。

これで三回目となる鑑賞だが、やっぱり面白い。以前見たときとはピンとこなかったOSとかハグとか言うコンピューター用語がすっかり身近なものになってきている。その感慨がひとつ。

虚無感漂う映像世界。壮大な破壊行為を求める犯人の造形。聖書をキーワードに謎を追い駆ける展開等に引き込まれる。

特殊車輌二課の後藤隊長の存在観もいい。日頃は茫洋としているのに、ここぞと言う時にほとばしる叡智の切れ味が小気味好い。

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