製作年:1988年

2005/09/03

愛は霧のかなたに

製作年:1988年
製作国:アメリカ
監 督:マイケル・アプテッド

マウンテン・ゴリラが絶滅の危機に晒されている事に興味を持ったダイアンは著名な動物学者ルイスに直訴して助手になる。そして中央アフリカの生息地に向かうが、同行してくれると思っていたルイス博士は他の地域へ行ってしまい、彼女はゴリラについては何も知らない現地人ガイドと二人で調査を開始するが…。

奇人変人が世界を変えていく。常人には持ち得ない激しい情熱があって初めて、強固な状況を打破することができるだろう。彼女の取った行動は必ずしも正しい選択ではなかったかもしれない。だが、その行動の結果、マウンテン・ゴリラの絶滅を救ったことには間違いない。その強い信念に圧倒されたことがひとつ。マーティン・スコセッシ監督の「アビエイター」(2004)を思い浮かべる。

てっきり、全部実写であったと思ったが、ボス・ゴリラは特殊メークの第一人者リック・ベイカーが製作したゴリラ・スーツであったという。本物のゴリラと全く区別がつかなかった。その出来栄えに驚嘆する。

シガニー・ウィーヴァーといえば「エイリアン」シリーズのリプリー役であるが、こうした強い女性を演じると卓越した存在感を見せる。そして、赤ちゃんゴリラと遊ぶときの優しい表情も忘れ難い。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/06/22

危険な関係

製作年:1988年
製作国:アメリカ
監 督:スティーヴン・フリアーズ
原作:ピエール・コデルロス・ド・ラクロ

18世紀、パリ。ある日、貴族社会の社交界に君臨するメルトイユ侯爵夫人は恋人のバスティード伯爵が若い娘と結婚するという噂を聞く。面白くない夫人は遊び仲間でかつての愛人でもある社交界きってのドンファン、ヴァルモン子爵にその結婚相手セシルを誘惑するように依頼するが…。
第61回アカデミー賞で脚色賞、美術監督賞、美術装置賞、衣装デザイン賞の4部門を受賞。

この原作を翻案した韓国映画、イ・ジェヨン監督の「スキャンダル」(2003)も良かったが、久々に観た本作品も、その興趣は色あせなかった。秀作となった要因はいくつもあるが、その最たるものは俳優たちの迫真の演技によるものだ。感情の流れを微妙な表情の変化で見せているところに唸った。

本作品は、朝、メルトイユ侯爵夫人(グレン・クロース)とヴァルモン子爵(ジョン・マルコヴィッチ)の二人がそれぞれ衣装を身にまとい化粧をするところから始まり、夜、メルトイユ侯爵夫人の化粧を落とすところで終わっていく。この対比が物語の流れを象徴しており、よく工夫された構成である。

もうひとつ対比の妙が効いている場面がある。ヴァルモン子爵がトウールヴエル夫人(ミシェル・ファイファー)に別れを切り出すところ。彼は何度も何度も「これは理屈ではないんだ」と繰り返す。だが、自分の面子のためにそうしているのであって、本当の自分の感情では別れたくない。「理屈でないない」と言いつつ、実は理屈で語っていることを感じさせる逆説的効果の強いシーンであった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)