2008/07/05

図鑑に載ってない虫

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:三木聡

三木聡監督と言えば、今や脱力系小ネタの笑いを生むことで独自のポジションを築きつつある。本作品も死後の世界を体験できるという謎の<死にモドキ>を探すというプロットがあるものの、その道中は奇々怪々なエピソードで埋め尽くされている。本当に見る人を選ぶような映画であると思うが、自分は大いに楽しめた。高橋恵子の思わぬ存在感が深く心に残る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/04

アフタースクール

製作年:2008年
製作国:日本
監 督:内田けんじ

神野(大泉洋)が北沢(佐々木蔵之介)に語る台詞に感銘を受ける。「自分独りだけ何もかも分かった風にして、学校なんかつまらいという。でも、つまないのはお前自身なんだ」。優れた探偵能力を有しているけれど、見事なくらい次々と裏切りに遭う北沢。事の発端は彼のギャンブル癖にあるにしても、どこか世の中を拗ねたように見ていることも遠因にあるのではないか。北沢と対極にあるのが、神野や木村(堺雅人)たちの友情である。学校で得ることのできる最大の恵みは友人だと思う。勉学など極端な話、過ぎてしまえば何も残らないが、友人関係は大切に築いていけば、延々と残っていく。「アフタースクール」というタイトルがなかなか巧いと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/03

アイム・ノット・ゼア

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:トッド・ヘインズ

ボブ・ディランの生涯を考えたとき、大きくクローズアップされるのは、<変節>であろう。ボブ・ディランを6人の俳優たちが演じ分けるという実験的な作品になっているが、それぞれ変節した後の心の揺らぎが大きく描かれている。特に印象深いのは、フォーク・ソングと決別し、ロックバンドをバックに歌うジュード(ケイト・ブランシェット)である。観客から裏切り者と激しい罵声を浴びるのであるが、今の時代では考えられない光景だ。その当時のカリスマぶりがうかがえる。変化することを恐れない勇気。すべてを失う危険もあるのに、留まることのできないアーティストの生き様が重く心に残る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/02

私たちの幸せな時間

製作年:2006年
製作国:韓国
監 督:ソン・ヘソン

一刻も早く死にたいと願う死刑囚。裕福な家庭に育ちながら、3度も自殺未遂を繰り返す元歌手。この二人が、週一回の面会を重ねる中で次第に心を通わせていくドラマは定番的とは言え、心を揺さぶるものだ。だが、どうしても気になる点があり、素直に感動できなかった。そもそもユンス(カン・ドンウォン)が犯行を起こす動機となった重病の恋人は、その後、どうなってしまったのか。ユンスは彼女に対してどう思っているのかも、全く触れられていない。それでいて、ユジョン(イ・ナヨン)と過ごす時間が、もっとも幸せだったと言われても、どうも釈然としない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/01

黒い雨

製作年:1989年
製作国:日本
監 督:今村昌平

本作品と同様に被爆後遺症に苦しむ人々の姿を描いた映画といえば、「ヒロシマナガサキ」、「夕凪の街 桜の国」と2007年に製作された作品を思い出す。1989年から2007年へ時間は過ぎていっても、被爆後遺症の問題が解決されていないことを実感させる。“黒い雨”を浴びたことから“ピカに遭った女”という噂が消えず、破談を繰り返す矢須子(田中好子)。そのことが前半、大いに不条理と感じられるが、後半になって、その感情は一転する。噂は噂でなくなるのだ。冒頭の、被爆直後の地獄絵図のような描写も震撼させるが、原爆というものの本当の恐ろしさは、この後半にこそ表されていると思う。矢須子を呆然と見送るしかできない重松(北村和夫)。その無念さが心を激しく打つ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/30

ヴィーナス

製作年:2006年
製作国:イギリス
監 督:ロジャー・ミッシェル

2002年にアカデミー賞で名誉賞を受けたピーター・オトゥール。それでも本作品で同賞の主演男優賞にノミネートとされ、まだまだ現役であることをアピールしてくれました。それが嬉しかったです。女性に執着をみせる老人の悲哀というテーマであるが、ピーター・オトゥールによって、とてもユーモラスで軽やかな映画になっている。名優の余裕を感じる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/29

シルク

製作年:2007年
製作国:カナダ/フランス/イタリア/イギリス/日本
監 督:フランソワ・ジラール

こんなドラマだったのか。予告編を見て抱いていた物語と全く違っていた。その意外さが一つ。恋は盲目という。ただ会いたい。そのためにはどんな危険があろうとも眼中に入らない。そんな愚かな男を静かに見守るエレーヌ(キーラ・ナイトレイ)。静謐で幻想的なヴィジュアル。やはり聞き惚れてしまう坂本龍一の音楽。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/27

いのちの食べかた

製作年:2005年
製作国:ドイツ/オーストリア
監 督:ニコラウス・ゲイハルター

かつて観たキューブリックやタルコフスキーのSF映画のようであった。無機質な世界のように感じられるのが、本作品の傑出したところである。だが、現実にはそうであるまい。それぞれの現場には臭いがある筈だ。その臭気の中では、様々な感情が巻き起こっていることだろう。大規模な機械化。効率的な生産。管理された現場。世界的な食糧需要のために、その過程はさらに進化していくのであろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/26

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ

製作年:2007年
製作国:日本
監 督:北村拓司

チェーンソー男とは一体、何者なのであろうか。何故、絵理(関めぐみ)は彼と毎晩、戦わなければならないのか。どうして、陽介(市原隼人)は、彼女たちの戦いに巻き込まれてしまったのか。その答えは全く明らかにされていない。その意味を解釈することがシネマファンの悦楽なのであろう。「今のガキは頭がいい、反抗したって変わらないことを知っている」。抜群だった板尾創路の存在感。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/25

奇跡のシンフォニー

製作年:2007年
製作国:アメリカ
監 督:カーステン・シェリダン

類い希な音楽の才能を持つのはエヴァン(フレディ・ハイモア)だけではないだろう。ウィザード(ロビン・ウィリアムズ)も、彼と同じ才能を持ち合わせていた筈だ。ライラ(ケリー・ラッセル)とルイス(ジョナサン・リス=マイヤーズ)を結びつけたきっかけ、彼の奏でるハーモニカであることからも、それがうかがえる。だが、その才能が社会的に開花することはなかった。そのことが彼を歪めてしまう。「オリバー・ツイスト」のフェイギンのような浮浪児の元締めに身をやつし、エヴァンの音楽を我が物にしようと画策する。才能があるだけでは、成功すると限らないのだ。それでも、エヴァンは願いを適えることができた。何故か。彼の宿願は金銭的成功にない純粋なものだからなのか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«西の魔女が死んだ